景品表示法の執行状況/「いわゆる健康食品」の取り締まり厳格化か

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 今年1月以降、景品表示法関連の執行が頻発している。本紙ではこのほど、景品表示法による執行件数の年次推移を独自に調査・分析した(=表参照)。13年度(13年4月―14年3月)以降、執行の傾向に変化が表れていることが浮き彫りになった。14年度以降、年度末にあたる1~3月の間の処分が激増していることや、健康食品企業や通販企業に対する執行が増加傾向にあることもわかった。

■異様に少ない15年度の執行件数
 過去5年間の消費者庁による措置命令の発表数を、発表数ベースで独自に集計した=表の見方参照。推移をみると、12~14年度は年間21~22回と一定していたが、15年度は年間13件とほぼ半減。16年度も3月29日時点では、12件にとどまっている。執行件数のばらつきについては、消費者庁の表示対策課では「粛々と執行を行っている。年度によって執行件数に多少の差が出てもおかしくはない」としている。
 15年に執行件数が激減した理由については、「機能性表示食品制度」の施行が影響しているのではないか、と分析する有識者もいた。「機能性表示食品制度が施行となった15年度は、業界団体や消費者団体が主催する新制度のセミナーに、なぜか食品表示企画課ではなく、表示対策課の人間が登壇することが少なくなかった。人手を取られ、執行件数にも影響したのでは」というのだ。
 15年は、翠光トップラインが消費者庁に対し景表法違反に基づく措置命令の取り消しを求める訴訟を起したことが話題になった。このことから消費者庁が行政訴訟のリスクを再認識し、慎重になったのではないかという見方もある。

■年明け以降に処分するケースが激増?

 17年は3月に入ってから、毎週のように景品表示法の措置命令の発表がなされている。執行件数の推移をみてみると、14年度以降は、1~3月の期間の措置命令発表回数が、他の期間に比べ跳ね上がる傾向が見て取れる。15年度に至っては、年間の発表回数の半分以上が1~3月の間になされているほどだ。元行政官でもある丸の内ソレイユ法律事務所の齋藤健一郎弁護士は「役人の考え方として、『自分や決裁者が異動する前に、年度末で案件を片付けたい』という考えがあるのかもしれない。ただ、集中しすぎていて妙にも思える」と話している。「15年度末については、課徴金制度が施行される前に、制度施行前の案件を処理したかったという理由もあったのだろう。とはいえ、16年度にも制度施行前の案件の処分が多数出ており、課徴金制度施行前後であることだけを理由には説明しきれない」(斎藤弁護士)ともしている。
 消費者庁では「当課としても、執行の時期のバランスは必要だと思うが、1月以降に執行が集中することに何か恣意(しい)があるわけではない」(表示対策課)と説明している。
(続きは、「日本流通産業新聞」3月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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