消費者庁/初の課徴金納付命令/三菱自動車工業に4億8500万

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今回の課微金納付命令について説明する表示対策課大元慎二課長

今回の課微金納付命令について説明する表示対策課大元慎二課長

 消費者庁はこのほど、景品表示法に基づく初の課徴金納付命令を出した。今回の命令は通販企業に対するものではなかったが、通販業界は今後の動向を注視する必要がありそうだ。
 消費者庁は1月27日、燃費データを改ざんして表示していたとして三菱自動車工業と日産自動車の2社に景品表示法に基づく措置命令を出した。併せて三菱自動車工業に対しては、4億8500万円の課徴金納付命令を出した。
 三菱自動車工業が優良誤認を指摘されたのは、軽自動車4車種と普通自動車5車種に関する表示。三菱自動車からOEM供給を受けていた日産自動車の軽自動車2車種も処分の対象となった。
 ただ、今回発表された課徴金納付命令の対象となったのは、三菱自動車工業の普通自動車5車種のみ。三菱自動車工業と日産自動車の軽自動車については「返金措置の対応中のため調査中」(表示対策課)として課徴金額の現時点での発表が見送られた。
 三菱自動車工業は16年4月1日の課徴金制度の施行以降、8月30日まで、約5カ月に渡り違反表示をしていたと消費者庁は認定している。
 景表法では課徴金の対象期間については、課徴金対象行為をやめた日から6カ月を経過する日までとしている。ただ、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するために内閣府令で定める措置をとった日まで、ともしている。
 消費者庁によると「三菱自動車工業は16年9月11日に、不当表示をしていたことを社告として日刊紙2紙に掲載するという措置をとっている。そのため、対象期間は表示をやめた日から6カ月後までとはしなかった」(表示対策課)としている。
 三菱自動車工業は、16年4月1日から、商品の販売を終了した8月30日までの対象期間中に、普通自動車5車種について約162億円を売り上げており、その3%にあたる4億8500万円が課徴金となった。
 景表法の課徴金には、事業者が自主的に返金を行った場合に、課徴金額を減免できる措置も用意されている。三菱自動車工業は、対象となった普通自動車について返金計画を消費者庁に提出していたが、減免されることなく満額の課徴金納付命令が出された。
 この件について消費者庁では「同社の普通自動車に関する返金計画は、全購入者を対象としたものではなく、景品表示法上の課徴金減額・免除を受けられる要件を満たしていなかったため」(表示対策課大元慎二課長)と説明している。
 具体的には、「同社の返金計画は、『対象期間中に購入したがすでに手放している人』『残価クレジットによって購入した人』を返金対象外としている。返金計画は、対象となった期間に購入したすべての人を対象としなければならないが、その要件を満たしていなかった」(表示対策課)と言う。
 両社は軽自動車について、18年4月まで返金措置を実施している。そのため消費者庁は「課徴金額は調査中」(大元課長)とし、課徴金納付命令を出さなかった。「返金措置が終了した時点で課徴金額が決まる。返金措置の中で、課徴金相当額が返金された場合、課徴金は免除となる」(同)としている。両社の返金措置の内容については消費者庁のホームページ上にもアップされている。
 なお、事業者は課徴金納付命令について不服がある場合、処分取り消し訴訟を提起することが出来る。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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