第5回「アジア通販サミット」から(2)/ジャパネットたかた 高田旭人社長/「自前主義」を徹底/修理品の自社対応は59%

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 日本・中国・韓国の通販業界団体が共同開催した第5回「アジア通販サミット(日中韓通販サミット)」の講演内容を紹介する2回目は、ジャパネットたかたの高田旭人社長による講演を取り上げる。高田社長は同サミットを締めくくる最終講演者として登壇。ジャパネットたかたがこれまで取り組んできた戦略と、今後取り組もうとしている構想について語った。

■「メディアミックス」と「少品種多量販売」
 ジャパネットの社員は全員、「Credo(クレド)」(従業員が心掛ける企業の信条)と呼ばれるものを持っている。表紙は変わっているが中身はほとんど変わらない形で、会社としての在り方を記したものだ。そこには大きな文字で「『今を生きる楽しさ』を!」と書いてある。
 ジャパネットは商品をお届けした後に、どれだけ感動を与えられるかということに、全社員がこだわりながら業務に取り組んでいる。今年で創業30周年を迎えたが、この部分はこれまでも、そしてこれからも絶対に変わらない大事なことだと認識している。
 私は昨年1月16日付で社長に就任した。就任初年度のグループ売上高は1559億円。従業員数は2392人で、このうち正社員は約500人だ。ジャパネットグループは現在8社で構成している。
 ジャパネットはインターネット、テレビ、ラジオ、ペーパーなど、すべてのチャネルを使う会社だ。社内では「メディアミックス」と呼んでいるが、各メディアで基本的に同じ商品を紹介する。
 ジャパネットには大きな戦略の軸がある。さまざまなチャネルを使って商品を紹介する「メディアミックス」。さらに「少品種多量販売」。そして「自前主義」だ。
 「少品種多量販売」については、何十万台という数の商談を1回で決める。あまり細かい商談は行わない。メーカーと1年に1回商談をして、1年間その条件で走り切る。その代わり数をすごく多くすることで、市場の価格より安く、お客さまに提供できる。
 例えば、「日本で一番いい掃除機は何だろう」「最もいい電子辞書は何だろう」ということをみんなで議論し、総合力で最も優れた商品を社内で検討する。決定したら徹底的にその商品を販売することにこだわっている。
 約40商材で売上高の50%、190商材で約80%の売り上げを占めている。ネット通販を行っている割には、中心的な商品にかなり売り上げが片寄っているのが特徴だと思う。
 「少品種多量販売」のメリットは商品開発の部分だ。基本的に当社で販売する商品はオリジナルモデルだが、1年に1度の頻度でブラッシュアップを行っている。
 バイヤーは、コールセンターやアフターサービスに集まるお客さまの声を徹底的に読み込む。さらに制作のメンバーの話も聞く。そして「従来のモデルではこれがなかったが、今度はこうしよう」ということを、メーカーと半年から1年をかけてブラッシュアップしていく。毎年商品が磨かれていくという考え方だ。
 商品を売るのは全メディア共通なので、各メディアの担当と制作のチームごとに、商品のどの部分を伝えればいいのかという議論を重ねる。受注・物流の部分でも、電話対応や発送は同じ商品となるので効率がいい。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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