進化するEコマースの”接客”/「ウェブ接客ツール」導入進む/「チャット」や「クーポン」で客単価・転換率向上

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ナノ・ユニバースはスマホアプリにチャットシステムを採用

ナノ・ユニバースはスマホアプリにチャットシステムを採用

ECサイト上で顧客の行動に応じてコンテンツを表示したり、チャットで相談に応じたりする「ウェブ接客ツール」の導入が進んでいる。アパレル大手のナノ・ユニバース(本社東京都・藤田浩之氏)はスマホアプリにチャットシステムを導入した。ユーザーから「チャット」で要望を聞き、的確な商品提案を行うことにより、購入単価の向上につなげている。メガネスーパーはクーポン情報を自動表示するツールや、顧客が閲覧しているページに合わせてメッセージを表示するツールなどを導入している。ウェブ接客ツールを併用することにより、新規顧客の購買促進や、サイトの転換率向上に役立てている。ウェブ接客ツールの登場が、ECサイトにおける〝接客〟を確実に進化させているのだ。

ツールの機能は多彩
 ウェブ接客ツールとは、ECサイト上で「クーポン」や「メッセージ」などのコンテンツを表示したり、「チャット」を通じてユーザーとコミュニケーションしたりできるサービスだ。
 顧客の行動に応じてコンテンツを出し分けることができる「KARTE(カルテ)」や「Flipdesk(フリップデスク)」が代表的なウェブ接客ツールとして挙げられる。「カルテ」は14年9月の提供開始から1年程で600社に導入された。「フリップデスク」も同時期にサービスを開始し、現在では300社以上に導入されている。
 クーポン配信に特化したウェブ接客ツール「Zen Clerk(ゼンクラーク)」も運用の負荷がなく、成果報酬型の費用体系であることなどが好評で導入が進んでいるという。
 チャット接客システムでは、チャモ(本社東京都、高橋翼社長)が提供する「Chamo(チャモ)」や、空色(本社東京都、中島洋巳社長)が提供する「OK SKY(オーケースカイ)」などがある。
 人工知能(AI)が自動応答するシステムも登場している。ピコもん(本社東京都、大前創希社長)が提供する「Tagment(タグメント)」やカラフル・ボード(本社東京都、渡辺祐樹CEO)が提供する「SENSY EC接客サービス」などがAIを搭載している。
 多くのウェブ接客ツールがECサイトにタグを埋め込むだけで導入できる。システムを改修する必要がなく、手軽に導入できる点も好評だ。
 ウェブ接客ツールはパソコンと比べて画面が小さいスマホにおいて、より高い効果を発揮するといわれている。EC事業者はツールを駆使することにより、スマホECサイトの転換率や購入単価の向上が期待できるという。

チャットで客単価向上

 ウェブ接客ツールを効果的に活用するEC事業者も増えている。
 ナノ・ユニバースは空色が提供するチャット接客システム「オーケースカイ」をスマホ向けECアプリに導入した。チャットを通じて顧客の要望を聞き取り、的確な商品提案を行うことにより、購入につなげるのが狙いだ。
 チャットの対応は、リアル店舗での接客経験がある熟練スタッフが行うという。チャット利用者にはまず、「リクエストカード」に必要事項を入力してもらうようにしている。探して欲しい洋服のテーマや予算などを把握した上で、よく着用している洋服のサイズやテイストを聞き、その条件に見合った商品を、画像を提示しながら提案するのだという。
 利用者もチャットで手軽に応答できるため、「それは好みじゃない」とか「もっと男らしいのがいいな」など本音が言いやすいのだという。
 同社はアパレルECモール大手の「ゾゾタウン」にも出店しており、EC売り上げを伸ばしている。スマホアプリは、オンライン上の直営店という位置付けだ。「チャット」の導入は、モール店との差別化を図る意味でも効果的だったという。実際に「チャット」利用者の購入単価は高く、成果を肌で感じている。
 空色はシステムを提供するだけでなく、チャット対応の体制構築までをトータルで支援している。現在はアパレルEC企業への導入が先行しているが、EC企業全般に導入を促したい考えだという。

続きは「日本流通産業新聞」2月18日号で)

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