〈16年はどうなる? 機能性表示食品制度〉 消費者庁の動向が鍵/求められる「届け出チェックの迅速化」

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行政による個別審査なしで食品の機能性を表示できる「機能性表示食品制度」がスタートしてから9カ月が経過した。ファンケルヘルスライフサイエンスなど、機能性表示食品の売り上げを順調に伸ばす通販会社も続々と出てきている。一方で、新制度は課題が山積みだ。「届け出情報チェックの迅速化」「対象となる機能性関与成分の範囲の拡大」─などの課題に、どう対処していくかが問われている。16年の新制度を取り巻く環境はどうなるだろうか。これまでに受理された届出の傾向を分析した上で、識者の声を聞いた。

現時点で〝サプリメント形状〟は93品目

 16年1月5日までに届け出情報が公開された172品目中(※)「サプリメント形状の加工食品」は93品目だった。サプリメント形状を除く「その他加工食品」は77品目、「生鮮食品」は2品目にとどまった。
 届け出の多い機能性関与成分にはどのような傾向にあるか。公表されている情報から表記違いなどを一つにまとめたところ、「難消化性デキストリン(以下難デキ)」「ルテイン」「ヒアルロン酸」「●(●は「葛」の下部分が「匂」)の花由来イソフラボン」の順で多かった(=表参照)。
 難デキを機能性関与成分とする機能性表示食品は22品目と現時点で最多だった。難デキには特定保健用食品(トクホ)の関与成分としてのエビデンスと実績が豊富にある。難デキを含有したトクホ商品をすでに販売している企業が、新商品として機能性表示食品を発売するケースがほとんどだったようだ。
 難デキを機能性関与成分とする機能性表示食品22品目は全て、サプリメント形状ではなく、「その他加工食品」の分類に入る。
 サプリメント形状の機能性表示食品では「ルテイン」を機能性関与成分とする届け出が14件と最多だった。ガイドラインが公表される以前から、「目の疲労に」といった表現が部位表示の具体例として示されていたこともあり、早くからルテインを機能性関与成分とした機能性表示食品の開発に着手した企業が多かったようだ。
 サプリメント形状で次いで多かったのは「ヒアルロン酸」。同成分を機能性関与成分とする機能性表示食品は11品目あった。同素材の供給を手掛けるキユーピーが、研究レビューの提供などを通して機能性表示食品の開発をバックアップしていることが大きく影響しているようだ。
 一方、「DHAやEPAは、ガイドライン公開前から『機能性表示食品の対象になる』と説明されていたが、その割にはDHA・EPAを機能性関与成分とした届け出の受理が少ない印象がある」と話す有識者もいる。現時点でDHAもしくはEPAを機能性関与成分とした機能性表示食品は、かぶりを除くと7件にとどまっている。
 (一社)JIHFSの池田秀子理事長は「まだまだトクホのゾロ品が多い。〝今までできなかった食品の機能性表示ができる〟と言う意味で新制度が新制度らしくなるのは今年からではないか」と言う。「例えば『カルニチン』などが増えるのではないか」(池田氏)とみている。
 (一社)国際栄養食品協会の天ケ瀬晴信理事長は「病者のデータを科学的根拠として使えないことから、エビデンスはあっても機能性表示食品化に進めず足踏みをする企業も少なくない」とし「積み残し課題の検討で動きがあることを期待したい」(天ケ瀬氏)としている。
 現時点で68社172品目の機能性表示食品が受理されている。企業別では、健康食品・化粧品の総合受託メーカーである東洋新薬が15品目と最多。健康食品販売企業では森下仁丹、アサヒフードアンドヘルスケアが9品目と多かった。
 エビデンスの取得方法別では「最終製品を用いた臨床試験」が23件、「機能性関与成分に関する研究レビュー」が148件、併用が1件だった。「最終製品に関する研究レビュー」による届け出の受理はなかった。
 ちなみに、現時点の届け出受理品目の内51・2%にあたる88品目が、届け出受理後の情報の変更を実施している。

続きは「日本流通産業新聞」1月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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