アスクル/自転車便のエコ配を子会社化/通販配送コスト削減し競争力強化

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エコ配の自転車便

エコ配の自転車便

アスクルは9月14日、自転車便を用いた宅配サービスを提供するエコ配(本社東京都、片地格人社長)を子会社化すると発表した。東名阪に特化した配送網を築いているエコ配を傘下に入れることにより、通販の配送コストの削減を図るのが狙いだ。顧客の配送費負担を軽減することを通して、競争力の強化も図る。
 アスクルは9月29日、エコ配が第三者割当増資で発行する普通株式8億2500万株を16億5000万円で引き受ける。アスクルはすでにエコ配の株式を900万株保有している。今回の取得株式を合わせると、エコ配の全株式の68・48%に当たる8億400万株を所有することになる見込みだ。
 アスクルはオフィス通販「アスクル」や一般消費者向けEC「ロハコ」の商品配送の一部をエコ配に委託する。まずは物量が多い東名阪のBtoB配送から委託を開始する。BtoBの配送は現在、完全子会社のBizex(ビゼックス、本社東京都、江田 修一社長)などが行っている。東名阪でよりきめ細かい配送網を持つエコ配を活用の選択肢に加えることにより、配送効率を高めたい考えだ。
 アスクルは配送コストを削減することにより、顧客の配送費負担を軽減することも検討する。さらに、「ラストワンマイルの担い手として、エコ配には顧客の声を集めてもらいたい。そこからサービスの改善につなげられるようにする」(広報)と話す。
 アスクルによると、エコ配が環境配慮に取り組んでいることも子会社化の決め手になったという。膨大な流通量を誇るアスクルは、物流における環境配慮にも注力している。エコ配の配送網を活用することにより、物流における環境負荷をさらに低減できるとみている。
 今回のM&Aは、エコ配にとってもメリットが大きかったようだ。エコ配は低価格な宅配サービスとして利用企業を増やし、今年7月にはこれまでの貨物取り扱い個数が1億個を突破していた。ただ、同社の宅配市場におけるシェアはごくわずか。宅配サービスをより充実させ、存在感を高めるためにも、取り扱い個数を急増させたいと考えていた。

続きは「日本流通産業新聞」9月17日・24日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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