【知らないと怖い!ネットショップ関連法規】第2回 景品表示法〜原材料の原産地表示、消費者庁は見ていますよ~

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 昨年、お茶等の製造・販売業者が、実際のものよりとても良い商品だと消費者に勘違いさせるような宣伝をしていた(優良誤認表示)として、消費者庁から景品表示法に基づき措置命令を受ける事案がありました。
措置命令を受けた会社の商品のパッケージには、①特定の日本の地名②水車小屋や小径など、日本の山里を思わせる風景のイラスト③はと麦、桑の葉などといった原料名――を表示していました。 
消費者庁が問題視したのは、パッケージの内容は「国産のお茶」であることを想起させる内容にも関わらず、原料のほとんどは一部を除いて外国産だったという点でした。
原料については、「緑茶」など一部の例外を除いて、その原産地を商品に表示する義務はありません。ですから、例えば、「はと麦」や「桑の葉」などを原料にしたお茶については、原産地を表示する必要はないのです。その意味では、今回問題になったお茶の表示に問題はありませんでした。
しかし、消費者庁は、原料の原産地を表示する必要がない商品についても、パッケージから想像される原料の原産地(日本)が実際の原産地(外国)と違うことを問題視し、景品表示法に基づく措置命令を出したのです。
実は、この件には。次のような背景があります。
政府は15年3月に、「加工食品の原料原産地の表示を拡大するよう検討する」という方針を打ち出しました。
これを受けて、消費者庁は16年1月から検討会を開始、同11月に中間とりまとめ結果を発表しています。
中間とりまとめ結果には、「加工食品を買うときに、消費者の約77%が原料原産地名を参考にしている。原料の原産地表示は重要。表示しなければならない範囲を広げていこう」という考え方が示されました。
その上で、「すべての加工食品について、重量割合1位の原材料の原産地を表示しなければならない」とするのが良いのではないかとの見解を出しています。つまり、冒頭の処分は、原料の原産地表示をしなければならない範囲を拡大していこうという政府の方針の中で出されたものなのです。これは、消費者庁が「今後も原料の原産地について、注視していくつもりだ」というメッセージを食品業界に出したものと考えられます。
商品のパッケージに原料の原産地を勘違いさせるようなイラストなどを載せている事業者は注意が必要です。

 
【齋藤健一郎氏プロフィール】
東京大学理学部卒業後、検察官として東京地方検察庁特捜部、防衛省防衛監察本部、法務省刑事局等を歴任。大手外資系企業ヴァイスプレジデントを経て、丸の内ソレイユ法律事務所企業法務部長。同事務所では、広告のコンプライアンスチェックや、行政対応の補助等のサービスを提供中。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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