【LTV向上! 虎の巻】〈連載3〉 顧客視点でCRMを構築

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3つのKPIを設定
 自社のCRM(顧客との良好関係維持・育成により売り上げ増を図る)が、うまくいっているかどうかを判断する指標としてLTV(1人のお客さまから得られる生涯の通算利益あるいは売上高)が重要で、そのLTVの算出方法を前回までに紹介しました。
 特に、リピート顧客の販売利益を算出するのは少し複雑な計算式になるので挫折しがちですが、LTV算出の計算式からリピートの販売利益を大きくするために重要な項目が分かります(別掲参照)。
 それは非常にシンプルで、「初回リピート顧客を増やす(初回リピート率)」「リピート顧客の購入回数を増やす(継続率)」「購入単価を上げる(平均顧客単価)」の三つです。これらの指標をKPI(重要業績評価指標)に設定しPDACを回しているのにうまくいかず、その結果自社のLTVが思うように伸びないというEC事業者は少なくありません。
 これから事例を基に、「初回リピート率」「継続率」「顧客単価」を上げるポイントを紹介していきますが、その前にぜひ確認していただきたいことがあります。

顧客を適切に分ける

 今までいろいろなEC事業者さまを見させていただきましたが、CRMがうまくいっているEC事業者には共通点があります。それは基本的に「売り手の視点ではなく顧客の視点をベースにCRM戦略を構築している」ということです。
 顧客の心理状況を読み解き、顧客が今必要なものは何かを考えることが重要です。顧客といっても十把一絡げには扱えず、1回しか商品を購入していなくて商品やブランド・お店の評価も定まっていない顧客と、その商品やブランド・お店から5年間も商品を買い続け、商品やブランドへの理解も深い顧客とでは、当然ながら求められるものが変わってきます。
 これはいわゆる「顧客セグメンテーション」といわれるもので、顧客を適切なセグメントごとに分けることで、一般的にはRFM分析やCPM分析が用いられます。顧客セグメントについては次回以降で、詳しく説明したいと思います。
 自社のLTVが思うように伸びない、リピートしない、継続しない、顧客単価が上がらない、とお悩みの読者は、各プロモーションのクリエーティブチェックだけではなく、自社のCRM戦略が顧客視点をベースに「最適な顧客セグメントを行い、顧客セグメントごとに最適なプロモーションを、最適なタイミングで、最適なコミュニケーション方法を用いて行っているか」を再考してみると、新たな打ち手が見つかると思います。

 今回の一言

 「あるセグメントの顧客」に「なぜ」「何を」「いつ」「どんな方法で」実施するのがベストか、顧客視点で考えてみる

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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