【LTV向上! 虎の巻】〈連載1〉 長期間の継続購入が鍵

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販売手法の違いによる顧客1人当たりのLTV推移

販売手法の違いによる顧客1人当たりのLTV推移

関心高まるCRM

 現在、EC業界において「CRM」(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント=顧客との良好関係維持・育成により売上増を図る)への関心が高まっています。
 アクイジション(新規顧客獲得)での競争激化によるCPO(コスト・パー・オーダー=1人の顧客を獲得するコスト)の悪化で、新規顧客獲得時の黒字化が困難になったことを踏まえ、各社ともリテンション(既存顧客の維持・育成)で収益を上げていこうという当然の流れです。
 「お客さまと永続的な関係性を構築する」ことは「商売の原点」であると思われ、個人的に現状の潮流はEC業界全体を、より活性化していくのではないかと考えています。
 この、商売の原点でもあるCRMが、うまくいっているのかどうかを判断する重要指標として「LTV」があります。
 LTVとは「ライフ・タイム・バリュー」の略で、1人のお客さまから得られる生涯の通算利益(あるいは売上高)のことです。
 LTVは一般的に、お客さまとの取引期間が長くなればなるほど大きくなり、ECでは「いかにお客さまと良好な関係を維持し、できるだけ長期間にわたり継続購入してもらえるか」が、LTV向上の鍵になります。


興味深いテスト結果

 あるクライアントと共同で、興味深いテストを行ったことがあります。内容は、「売りが強いコミュニケーションの『まとめ売り』」と、「通常コミュニケーションの『単品売り(定期購入を含む)』」で、どちらの販売方法が「最終的にLTVが高くなるのか」というものです。
 結果は、ある期間までは「まとめ売り」の方が高く、ある期間を過ぎると「単品売り」の方がLTVは高くなりました。
 この結果から得られた示唆は、目先の売り上げを増やすために、売る姿勢が強すぎる販売手法やコミュニケーション戦略を取ってしまうと、かえって顧客離反を招き、結局はその顧客から得られるLTVが減ってしまうということだと考えられます。
 このように弊社では数々のクライアントと共同で、LTV向上のための施策や分析を日々積み重ねてPDCAを回しています。
 この連載では、そこから得られた経験・知見を生かし、より実践的なLTV向上施策を紹介する予定です。


【今回の一言】
 「顧客不在のマインド・戦略にLTVの向上はない!」

(月1回掲載)


〈筆者プロフィール〉
(株)LTV―Innovation
  取締役  野口学夫
 前身となるインキュベーション会社、(株)JスタイルにてCRM推進事業を創設。Jスタイルの代表者、小村富士夫氏((株)JIMOS創業者)から通販ノウハウ、顧客志向を徹底的にたたき込まれる。2013年、CRM事業拡大とともに分社化、(株)LTV―Innovationを創業。上場企業から中小企業まで累計800社に、CRMシステムの提供やCRMコンサルティングを行っている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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