【〈成長率130%超!〉売上50億円を超えても成長し続ける仕組み作り】 第4回〈成長する組織を作るための「業務の棚卸し」〉/技能インベントリーで業務を最適化

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 上司がメンバーの業務を把握・理解する。当たり前のことではあるが、ほとんどの会社でできていないのが現状である。
 さらに、新入社員がどのような業務ができれば一人前になるのか、また、昇進するためにはどのようなレベルになるべきかについても不明瞭な場合が多い。このような状態をなくし、かつ、業務の最適化を行える方法として技能インベントリーという方法がある。
 連載第4回目では、売り上げが50億円を超えても、成長し続ける会社が行っている「業務の棚卸し」について解説する。

■技能インベントリーとは

 各部署、各人の業務項目を抽出。それらの項目を誰がどのレベルで実施することが可能かを把握する。
 業務の実施レベルは、(1)できない(2)人に教えてもらって対応できる(3)1人でできる(4)人に教育することができる─の4段階で評価を行う。

■会社全体業務の把握と技能インベントリーの作成

 会社全体の業務を把握した後、それぞれの業務を抽出する。そして、それらの業務内容を各メンバーの実技レベルまで分解して、技能インベントリーを作成する。
 1.会社全体の業務フロー
 企画、製造、情報整備/登録、販売、受注、出荷、接客の業務の流れについて業務フローを作成して、会社全体の流れを見える化する。
 これにより、各部署で行っている業務内容を把握する。また、部署との業務やり取りが分かり、業務の無駄やダブりについても確認してなくせるようにする。
 2.技能インベントリー
 各部署の業務を個人レベルの仕事内容まで分解する。
 例えば広告運用においては、(1)効果が高い広告選定(2)広告バナー作成(3)広告入稿(4)広告効果の検証─と分ける。
 業務内容を横軸、縦軸にメンバーの名前を記載すれば、技能インベントリーの完成である。

■技能インベントリーを使った業績評価

 技能インベントリーにより、各業務でどのような仕事が必要になるのかを「見える化」できる。そのため、メンバーは次に何を習得すれば良いのかが目で分かるようになる。
 また、この技能インベントリーは業績評価としても使え、リーダーや課長になるためには、何をどこまで行う必要があるのかをメンバーと評価者で共有できる。
 技能インベントリーはメンバーの教育・評価だけではなく、新入社員への教育にも使えるツールである。各業務を行うためには、何を実施すれば良いのかを一目で把握することができる。
 また、安全や品質が求められる作業については、技能インベントリーで認定された人だけが作業できるようにすることで、一定レベルの安全や品質を確保することが可能である。
 会社全体の業務の流れを見直した後、技能インベントリーを作成・活用し、メンバーの技術力アップや目標作りに役立てていきたい。


〈プロフィール〉 mighty 仲庭拓也統括部長

 工学博士。海外での会社設立〜工場建設〜資材確保〜販路拡販業務を6年間行う中で、トヨタ生産方式を用いた改善、人材育成、物流業務などを経験・習得。日本へ帰国後、株式会社mightyの統括部長として通販全般の運営を担当。売り上げ改善を中心に、社員教育、業務改善に取り組む。その結果、17年度は前期比130%以上の売り上げ向上を達成することができ、18年度はさらに売り上げを伸ばすことができている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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