【キンライサー 森崇伸CEO】 〈ウェブ集客を強みに住設を販売〉株式上場を準備、海外展開も

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 給湯器の販売・施工のECサイト「キンライサー」を運営するキンライサー(本社東京都、森崇伸CEO)は、20年7月期の売上高が前期比49.5%増の50億900万円と大幅増収だった。森CEOは本紙のインタビューに、新規株式上場(IPO)を準備していることを明らかにし、米国、中国、オーストラリアへの海外展開も準備しているという。21年7月期の売上高は65億円(前期比30%増)を計画。「ウェブ集客」を自社の強みにしている森崇伸CEOに話を聞いた。

 ─20年7月期の増収要因について聞きたい。
 ガス給湯器のほかに、電気給湯器(エコキュート)の売り上げが伸びたことが大きい。当社は18年10月に新しく電化事業部を立ち上げた。電化事業部は、ガス給湯器の事業部と異なる部門として、電気給湯器を販売している。関西エリアからスタートし、19年3月に関東でも販売を開始した。前期の販売比率はガス給湯器が81%で、エコキュートが13%となった。エコキュートはすべて新規で取ることができたと判断している。
 電化事業部の集客は、これまで培ってきたウェブ集客のノウハウを生かし、販促につなげることができた。当初はガス給湯器の販売チームに電気給湯器も販売してもらう予定だったが、ガス給湯器の販売が好調で忙しく、エコキュートの販売も想定以上の推移となったため、電化事業を独立継続することにした。ちょうど2年が経過したが、今は営業も施工もほぼ内製化している。電化事業部は現在、西日本エリアで3人、東日本エリアで3人と計6人の営業体制を敷いている。
 ガス給湯器の販売も伸びた。キャッシュレス還元や給付金の影響もあり、20年6月度は前年同月比で180%増となった。コロナ禍でテレワークが広がり、家族みんなが自宅で過ごす時間が増えたことで、給湯器を使用する頻度が一気に高まった。使用頻度が増えれば、エラーや壊れたりするケースも多くなる。普段の数倍の稼働となるため、何かしらのトラブルに見舞われてしまったのではないかとみている。


■ウェブ集客を軸に展開

 ─ウェブ集客について聞きたい。
 当社は、ウェブ集客を軸に展開して20年以上となった。その積み重ねのもと、SEOやウェブサイト作り、ネット広告などに入念に取り組み、投資をしている。
 例えば、当社のホームページは、来訪者によって、トップ画面の表示が異なる。10月末まで全国でテレビCMも放送した。放送期間中は、CMに合わせたウェブページを用意した。サイトを訪れる人の特徴、広告投資、問い合わせなど全ての状況を踏まえてサイトを作っていることが当社の強みといえる。
 ウェブ集客の分析は1日単位で行い、時間ごとの状況も見ている。どこのエリアで問い合わせが増え、現場の状況なども加味した上で、ウェブ集客を行っている。こうした状況判断は私が行い、決断と実行に移している。
 ウェブ集客に向けた広告投資は積極的に行っている。ただ、広告を増やしてしまうと、現場がパンクし、顧客にも迷惑がかかってしまうため、攻めと守りのバランス調整が非常に難しい。だからこそタイムリーな情報確認と判断が必要になる。他社から見れば当社の取り組みは大胆なものに見えるかもしれないが、緻密で戦略的に実施している。ウェブ集客と施工体制、ここが他社との差別化になっていると思う。
 ─株式の新規上場、海外進出の計画は。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月5日号で)

〈プロフィール〉
森崇伸(もり・たかのぶ)CEO
 1974年、群馬県生まれ。
 高校卒業後、車の整備士を経て、給湯器の施工会社に入社。23歳で前進となる近畿ライフサービスを起業。19年8月にキンライサーに社名変更した。20年8月には、本社所在地を神奈川・新横浜から、東京・虎ノ門に移転している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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