【ロジザード 亀田尚克執行役員営業部部長】 仕入れ主体のECは苦戦

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 クラウド型在庫管理システムを提供するロジザードは昨年から、主力製品の機能強化に取り組んでいる。システムを利用する倉庫事業者から、製品機能の拡充に対する要望が寄せられていたからだ。システムの強化ポイントとともにEC事業者の現状を、執行役員営業部部長の亀田尚克氏に聞いた。

■同梱物に対応

 ─ロジザードとして今期、強化しているポイントは。
 大規模な受託開発案件を抑制気味にして、「ロジザードZERO(ゼロ)」をはじめとした製品の強化に取り組んでいる。具体的には、単品リピート通販の案件に対応できるようにシステムを強化した。弊社のシステムを導入しているのは倉庫業が中心。倉庫業のクライアントである単品リピート系の通販事業者が、同梱施策の案件を倉庫側に委託してくるケースが増えているからだ。「ロジザードZERO」で同梱物への対応ができるようにした。
 ─そのために大規模向け開発案件を抑制したのか。
 ここは一度抑制して、製品本体の機能強化にシフトした。同梱物への対応も経験値として持ってはいたが、標準化できていなかったので標準化したかった。ロジザードはもともと、アパレルを中心にシステムを提供してきたが、アパレルは多品種小ロットが主流で、単品リピート系とは真逆の世界だ。「ロジザード=アパレル」というイメージが強かったが、同梱物対応機能を強化することで、単品リピート系にも対応できるという対応業種の幅を広げたかった。


■ECは当たり前

 ─「ロジザードZERO」を提供しているアカウント数は。
 19年12月末時点で1208件。アカウント数は確実に増えているが、通常のネットショップにおいては結構出入りが激しくなっている。商売をやめたり、ネットショップを売却したりするケースが増えているからだ。店舗在庫管理の機能に対応した「ロジザードZERO―STORE(ゼロストア)」を開発したり、3月に開催するセミナーのテーマをオムニチャネルに設定したりしたのも、従来のような仕入れ商品を主体とした商売のEC事業は厳しくなるだろうというのが背景にあるためだ。これからのECは店舗を持っていたり、コアなお客さまに対していいサービスを提供していたり、特徴のある事業をやっている会社じゃないと、成長するのがかなり厳しいフェーズに入ってきたと感じている。
 ─従来のネットショップが生き残れないのはなぜですか。
 ECが当たり前になってきたからだ。完全に認知されてしまった。EC大手でもEC化率が2~3%の頃は、そんな規模の小さい商売は別にいいよという姿勢だった。最近はECで事業を組み立て直したり、ECを基軸に商売を組み立てたりする会社が増えてきている。そうなると当然、体力や規模、投資額などが異なってくる。


■小売りが複雑化

 ─以前は同じ会社でも、店舗とECが対立するケースが多かった。
 現状はECと店舗を分けるのが厳しくなってきた。以前はECで区切っていたが、最近はECの案件というくくりができない。店舗は混じるし卸も混じるし、複合型になっている。その中でECの割合が比較的多いとか、すでに認知度があるブランドがECを始めようとか、そういう相談が寄せられるようになっている。物流会社からも「店舗の在庫管理をどうしたらいいか」との相談が来ている。ECだけでなく、店舗の在庫まで見て事業を請け負う物流会社が出始めている。
 ─ECと店舗が対立する時代から、ECが当たり前の時代になり、次はどのようになると思いますか。
 それが3月に開催するセミナーのテーマになる。オムニチャネルを組織の中から改革された逸見光次郎さん、売り場の在庫数を見て現場を改善してきた齊藤孝浩さん、それに対して物流がどう付いていけばいいのかを弊社の金澤(茂則社長)が解説する。いまだにECと卸、ECと店舗を分けて考えている、あるいはシステムの設計がそうなっている会社は多い。しかし、小売りのパターンはすごく複雑になってきている。ロジザードとしては複雑化した小売りのパターンに対し、在庫という切り口でトライしていきたいと考えている。物流と店舗と倉庫は切れているけれども、モノは一緒なので、同じレンジで管理してほしいと思っている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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