【ディーライズ 貴島康博代表取締役社長】 〈少数精鋭で高い成果〉/システム強化で省人化を徹底

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 家電のECサイトを運営するディーライズ(本社東京都、貴島康博社長)は18年、創立10周年という節目の年を迎えた。18年2月期の売上高は、前期比20・2%増の137億9000万円。従業員数は現在21人で、少数精鋭の中、着々と高い成果をあげている。貴島社長に、増収要因と今後の展望を聞いた。


■独自システム強化

 ─前期の増収要因は。
 ここ数年で会社の売り上げは順調に伸びてきています。自分も含めたベテランのバイヤー6人の営業力と、仕入れが順調だったことから、良い成果が出せたと考えています。
 販売力も売上高を伸ばす大きな要因になりました。商品の仕入れは不良在庫の発生に陥りがちですが、自社開発の独自システムを使うことで、モールへの露出と一部モールでは最安追従が画面に表示されるようシステムを構築しています。日々価格競争の中で競っているので、円滑に商品を売り切っていく力は今後も必要になります。
 ネット通販は仕入れ力と販売力のどちらも大切です。140億円を売るということは、同時に140億円の仕入れが発生しており、仕入れが販売より先行します。
 仕入れた商品を円滑にさばいていくために、需要と供給のバランスをシステム上で管理しています。システムだけではなく、そこにプラスしてノウハウを会得した人間の相場の判断も含まれてきます。
 ─独自システムの詳細は。
 各モール連携の精度が他社と比べてもトップクラスだと考えています。今年の売上高が伸長したのは、各モールでの売り上げが良かったことも挙げられます。システム面の強化が、運営効率化の面で非常に役立っています。
 システムに関しては大半が自社開発ですが、一部外注している部分もあります。インターネット通販は常に情報漏えいの問題がついて回るため、セキュリティー面を考慮し、顧客の個人情報などを入力する受注の部分は外注先と協力しながらの運営になっています。システム開発に関して本腰を入れ始めたのは6年ほど前からです。
 レベルの高いプログラマーが在籍しており、システム開発の予定が半年先まで埋まっている状態です。そこに新しいアイデアが日々盛り込まれていくので、開発が止まることはなく、常に進化し続けています。省人化してシステム化できる部分については徹底的に落とし込んでいます。


■目標売上高150億円

 ─今後の展望についてうかがいたい。
 経営者の目標として、ここ1、2年の間で売上高150億円を目指しています。ここ数年で会社が大きくなってきている実感があります。
 決算期の目標売上高を達成した際には、無償で家電製品を顧客に進呈するイベントを開催しました。2年前に売上高100億円を突破した際には、50インチのテレビや、パソコン、カメラなどの商品を抽選で当たった顧客に差し上げています。どこのサイトからでも応募ができ、受注画面上で「申し込む」のチェックボックスにチェックするだけで抽選に参加できるようにしました。次の決算期ではもっと大掛かりなイベントになるかもしれません。
 現在ネット上に8店舗出店していますが、引き続き仮想モールに出店していく計画を立てています。主たる購入先が楽天市場の人もいれば、アマゾンの人もいます。どこにいってもディーライズの店があり、商品を購入できる環境を構築していきたいと考えています。
 ─150億円達成後の目標は。
 150億円から先、売上高を伸ばすかどうかは、従業員の判断に任せようと考えています。例えば300億円を目指すならその意見を尊重するし、社内の環境改善などを重視するなら、それもまた尊重します。
 今後売上高を拡大させるために、販売戦略と仕入れ戦略を大幅に改善していく予定です。人員は増強せず、給与を上げて従業員に還元していく方針です。
 今後事業を大きくしていく上で、勤務体系に負担がかからないラインが150億円だと考えています。そのラインを超えると、残業や土日出勤などが必要となり、ブラック企業になりかねません。限られた人員の中で、運営効率化のスキルアップを図り、今よりどう楽に動けるかということを考えていきたいです。「あったらいいな」というものを考えるのが大好きなので、システム化できる部分は積極的に変えていき、人でなければできない仕事に従業員が打ち込めるような環境を整備しているところです。
 ─消費税増税に向けてどのような対策を考えていますか。
 前回の増税のタイミングでも、増税前の駆け込み需要があり売上高は伸びました。しかし、駆け込み需要だけに注目していると、増税後に痛い目に合うことを過去の経験から学びました。過去にも増税後、売上高が20%下がったことがあります。そういった経緯を踏まえると、増税後に120%商品を売っていく戦略を練っていく必要があると考えています。今から下準備を始めていますが、施策が正式に決まり次第、具体的な対応を決めていきます。


〈プロフィール〉
貴島 康博(きじま・やすひろ)氏
 1972年生まれ。高校卒業後SEとして働いた後、営業職などさまざまな仕事を経験。08年3月、ディーライズを創業し、代表取締役社長を務める。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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