【AOKI インターネット通販責任者 齋藤英士氏】 〈ECサイトと店舗の連携強化を推進〉/店舗との連携とサイズ感が課題

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 スーツのAOKI(本社神奈川県、諏訪健治社長)は、ECサイトと店舗の連携強化の取り組みを推進している。一方、ECにおいては、顧客のサイズをいかに把握するかといった点を課題と捉えており、最良の方法を模索している。現在、同社のECの利用者は、実店舗で商品を購入したことがある顧客が中心。ECで獲得した新規顧客のロイヤルティーを高めるためには、顧客のサイズを把握する施策が不可欠だと考えているようだ。同社のインターネット通販責任者である齋藤英士氏に、AOKIのEC戦略と課題について聞いた。

■実店舗とシームレス化図る
 ─AOKIではEC部門をどのように位置付けていますか。
 スーツのAOKIという会社全体として売り上げを伸ばしていく中で、重要なチャネルの一つであるという位置づけです。
 当社には「AOKI」と「ORIHICA(オリヒカ)」という二つのブランドがあり、ブランドごとにECを運営し、効率化を図っています。どちらのブランドでも、ビジネスカジュアル部門やレディース部門の売り上げが好調です。最近は、カジュアルアパレルの売り上げも伸びています。
 今はまだ、当社の全社売り上げのうち、実店舗での売り上げが大部分を占めており、EC売り上げは数%程度です。
 ただ、ECも伸ばしたいと考えており、実店舗と連携する施策を推進しています。
 ─実店舗との連携のため、どのような試みを行っていますか。
 店舗とECで、キャンペーンや値付けを連動させるなどして、ネットとリアルのシームレス化を図っています。
 例えば、お客さまの店舗での購入履歴を、ECでも確認できるよう、データのひも付けを行っています。店舗で購入した商品と似た物をECで購入したいというお客さまのニーズにも、スムーズに応えられます。実店舗について調べようと当社のサイトに来訪したお客さまを、ECに誘導する試みも行っています。コーポレートサイトとECサイトのトップページを同一にしており、商品紹介ページをクリックするとそのままECで商品を購入できます。
 ただ、これからは、ECだけを利用するお客さまにヒットする商品やキャンペーンも考えていく必要があると認識しています。

■スーツのサイズ感が課題
 ─スーツのECの最大の課題は何だと考えていますか。
 スーツのECを運営する上で最大の課題は、「サイズ感」です。現在は、店舗で商品を購入したことがあるお客さまがEC利用者の中心となっています。ただ、今後ECサイトだけを利用する顧客に対するサービスを重点的に考えていく場合、ECの仕組みの中で、お客さまのサイズをしっかりと採寸できるようにすることが必要です。
 現在は、ファッションECサイトのサイズ感の問題を解消するためのツール「unisize(ユニサイズ)」を、レディースのカットソーやニット、一部のビジネスシャツなどの商品ページに導入しています。このツールは、お客さまが、普段着用しているブランドの名前と、そのブランドで着用している服のサイズを入力すると、当社の商品のサイズ展開の中で、ベストなサイズを提案できるというものです。サイズ提案に当たっては、ツールを開発したパートナー企業が蓄積している、多数のブランドのサイズデータを活用します。
 ただ、単価の高いスーツなどを購入していただけるのはやはり、当社の実店舗で商品を購入した経験がある方がほとんどです。細かい採寸が必要な商品については、「ユニサイズ」のように他ブランドと比較して提案する方法は不安が残ります。より分かりやすいサイズ表記が課題だと認識しており、課題解消に取り組んでいます。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月20日・27日 合併号で)


〈プロフィール〉
齋藤英士(さいとう・えいじ)氏
 06年新卒でAOKIへ入社。金沢御経塚店(石川県)配属。07年4月にAOKIホールディングス経営管理室へ異動。AOKI商品管理部などを経て、18年10月AOKIインターネット通販責任者(現職)に就任。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ