【アンカー・ジャパン〈アンカーダイレクト〉 井戸義経社長】Amazon特化が奏功、5年で売上高100億円射程に

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 スマホやPC周辺機器をECなどで販売するアンカー・ジャパンが運営する「アンカーダイレクト」は、Amazonがマーケットプレイスの優秀出品者を表彰する「マケプレアワード」を3年連続で受賞した。同社は13年に日本での展開を開始したが、Amazonでの販売に特化した戦略が奏功。わずか5年で、日本の売上高が100億円を射程に入れるほどまでに急成長している。売り上げ急拡大の背景について、アンカー・ジャパンの創設者でもある井戸義経社長に、話を聞いた。

■日本の求めるサービスは最高水準

 ─優秀出品者をAmazonが評価する「マケプレアワード」を3年連続で受賞していますが、要因は何ですか。

 製品とサービスを同等の比重で考え、カスタマーサポートを非常に重視する、ECの運用の仕方が評価された結果だと考えています。常にお客さまの声を吸い上げて製品の改善を行ってきました。型番や製品名は据え置いたままですが、少しずつ製品の改良を行ってきたのです。
 ECは買う前に商品を手に取ることができません。そこでカスタマーサポートが重要だと考え、製品には全て、当社の問い合わせ窓口の連絡先を書いた紙を同封し、直接やりとりができるようにしています。製品に不具合があった場合だけでなく、使い方が分からない場合や、商品へのクレームが寄せられた場合なども含めて、すべて米・本国の開発チームおよび品質管理チームにフィードバックするようにしています。
 短期的な発想による売り上げアップは長続きしません。少しずつ信頼を得てきたことが売り上げにつながっているのではないかと考えています。
 客層の拡大も売り上げ拡大の背景にはあります。当社が日本に進出した13年の頃は、家電のマニアである、いわゆる「ギーク」層が顧客の中心でした。しかし、SNSでのPRをしたり、各種メディアとのイベントを行ったり、期間限定で実店舗を出店したり、量販店での販路を拡大したりしたことで客層が広がりました。
 今年は日本だけで、18年12月期の売上高として100億円を達成することを目指しています。今のところ、達成可能の見込みです。ECでの売り上げは全社売上高の8割程度を占めています。
 世界のアンカー全体の、17年12月期の売上高は約650億円で、こちらも毎年20〜30%のペースで成長しています。11年の立ち上げ以降、成長が加速しています。

 ─Amazonでの販売を重視する理由はあるのでしょうか。

 Amazonの企業理念に大変共感しているからです。Amazonは「世界一お客様を大事にする会社」を標榜しています。Amazon内の商品検索の上位に表示する製品は、サポートの質やレビューの評価を鑑みて決定づけていると聞いています。
 米国の本社も、Amazonのその理念とともに成長してきました。今後もお客さまの手に渡るまでを当社が直接コントロールし、つながることのできるECを重視したいと考えています。
 グローバル規模の拡大は重要ですが、やはり、その国の顧客に合わせた製品やサービスの提供が必要です。一般的には、日本のお客さまの方が他国のお客さまより高いレベルの製品を求める傾向があります。しかし、それは日本のお客さまにご満足いただける製品は世界のお客さまにご満足いただける、ということだと考えています。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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