ファッションEC支援のアラタナ(本社宮崎県、濱渦伸次社長)は、自社ECサイトと「ゾゾタウン」の在庫一元化管理サービス「aratana gateway(アラタナゲートウェイ)」の提供を本格化している。「ゾゾタウン」のフルフィルメントや販売データを自社ECサイトにも活用できる点が魅力。一方、サイト構築においては外部パートナーと連携する。ファーストパートナーに選ばれたのが、インターファクトリー(本社東京都、蕪木登CEO)が提供するクラウドECプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」だ。アラタナとインターファクトリーはサービス連携により、ファッションECの新たな”勝ちパターン”の絵を提案できるという。アラタナ執行役員営業部長の松清健一氏と、インターファクトリー製品企画部副部長の窪田陽平氏に、サービスの魅力について聞いた。
─「アラタナゲートウェイ」とはどんなサービスか。
松清 もともと手掛けていた「カゴラボ」というSI(システムインテグレート)やマーケティング支援の事業に加えて、スタートトゥデイのグループに入ってからファッションECのサイト運営からフルフィルメントまで支援する受託事業を展開していた。昨年、今後の成長戦略を考え、受託事業をメインに据えることにした。その中で生まれたサービスが、「アラタナゲートウェイ」だ。
簡単に言うと、スタートトゥデイの物流センター「ゾゾベース」で在庫を管理することで、自社サイトと「ゾゾタウン」の在庫を一元化できるサービス。決済やマーケティングなども支援できる。
─サービス連携することでのインターファクトリーのメリットは。
窪田 当社が提供する「エビスマート」はジャンルに絞らず、幅広いEC事業者を支援してきた。おかげさまで500社以上に導入し、クラウドECプラットフォームとしてはトップシェアとなった。今回の連携はファッションECに「どんぴしゃ」のサービス。すべてのアパレル事業者に「刺さる」わけではないかもしれないが、大きな武器になるのは間違いない。
■無料で広告運用
─導入したファッションEC事業者にどんなメリットがあるのか。
松清 これまで実現できなかった「ゾゾタウン」の在庫を一元管理できるメリットは大きい。例えばEC売上高の4割が「自社サイト」、4割が「ゾゾタウン」、2割が「その他モール」だという事業者の場合、8割の在庫を一元化できる。機会損失を減らし、確実に売り上げ拡大に貢献できる。
「ゾゾタウン」で提供している後払い決済「ツケ払い」を導入できたり、手数料無料でDSPを活用した広告運用をサポートすることもできる。広告サービスでは競合ブランドを閲覧しているユーザーに広告を配信することも可能。「ゾゾタウン」のデータを活用したマーケティングや需要予測を支援できる点も魅力だと思う。
─今回の連携が実現した理由は。
松清 インターファクトリーさんとは以前から交流があり、素晴らしいサービスだと思っていた。今回の連携も1年ほど前に提案し、すぐに一緒にやろうと決断してもらえた。
窪田 アラタナさんは顧客の売り上げ拡大を第一に考えている。当社も同じ思想を持っている。自社の目先の利益ばかり追うのではなく、柔軟な発想で顧客のために挑戦していく姿勢が合致していたのも連携できた要因だ。
─「アラタナゲートウェイ」の導入目標は。
松清 すでに十数社の導入が決まっている。近いうちにインターファクトリーさんと連携した導入事例も出せると思う。
【Eコマース業界地図 「ECサイト構築サービス編」特集〈パッケージ/クラウド〉】 〈インタビュー「ファッションECで連携」〉アラタナ 松清健一執行役員営業部長、インターファクトリー 窪田陽平製品企画部副部長/ゾゾの資産活用した”勝ちパターン”を提案
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