【〈越境ライブコマースを始めた〉東京メトロポリタンテレビジョン 城田信義国際部長×Remap 張翔(ジャン・シャン)副社長】国産化粧品、60分で売上2000万円

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 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX、本社東京都、河内功社長)は1月、中国向けのライブコマースを開始した。「KOL(ケーオーエル=キー・オピニオン・リーダー)」と呼ばれる中国のインフルエンサーを招聘(しょうへい)し、中国の消費者向けに動画を生配信しながら商品を販売する。TOKYO MXはシステム開発を手掛ける中国企業Remap(ルマップ)と提携し、越境ECの仕組みを構築。1月24日に、25万人のファンを持つKOLが国産化粧品などを紹介したところ、1時間で約2000万円を売り上げた。越境EC事業を手掛けるTOKYO MX国際部の城田信義部長とRemapの張翔(ジャン・シャン)副社長に、事業内容や今後の展望を聞いた。

■Tモール出店で失敗

 ─越境ライブコマースを始めた理由は。
 城田 当社の越境EC事業は2015年、総務省の地方創生を目的とした事業として採択され始まりました。TOKYO MXとしてアリババの越境ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店しました。最初のうちは販売状況も良く、年間売上高は1億円くらいまで伸びましたが、急に伸び率が鈍化したのです。調べてみると、われわれが扱っていた商品の並行輸入品がかなり出回っていました。
 ジャン 中国では「代購」と呼びます。並行輸入を手掛ける業者が多くいて、大手航空会社が行うケースもあります。
 城田 そんなとき、メッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」などを運営するテンセントに紹介してもらったのがRemapでした。これからは大きなモールに出店して売る時代ではなく、ブロガーやKOLが物を売る時代です。しかし、彼らは日本製品を売りたくてもメーカーと取引できない、物流を確保できないなどの課題を抱えています。それを解決できる仕組みを作ることになりました。
 ジャン 今日来ていたKOLは所属先がありますが、通常、KOLは個人で活動します。開発した越境EC支援システム「Legovo(レゴヴォ)」は個人輸入では面倒になる物流手配のほか、中国の税関システムと連携しているので通関手続きも代行できます。決済データ・受注データ・発送データを合わせて税関に申請します。越境ECで販売可能な商品かも事前把握が可能です。
 城田 「レゴヴォ」はKOL側から見ると仕入れサイトのようになっていて、「配送ルート」「送料」「販売ECサイト」「何個セットで売るか」などの登録が必要です。これまで日本メーカーが悩んでいた転売などの発生を抑止できます。


■20分で購入ピーク

 ─KOLが来日してライブコマースを実施するのは今回で2度目です。販売状況はいかがですか。
 城田 1月24日、ECモール「タオバオ」で約2時間、ロート製薬の化粧水などを紹介・販売する動画を生配信して2329万円を売り上げました。今回は2日間、合計4時間の配信で売上高は3230万円です。客単価はおよそ1万円強となっています。

(続きは、「日本ネット経済新聞」4月5日・12日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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