【ユーグレナ 福本拓元 取締役】化粧品が「緑汁」に次ぐエースに成長

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 ミドリムシを原料とした健康食品のECを展開するユーグレナ(本社東京都、出雲充社長)の通販事業はとても好調に推移している。17年9月期の通販売上高は前期比35%増の92億6000万円だった。17年10—12月期(第1四半期)の通販事業の売り上げも、前年同期を大幅に上回った。好調の要因は、ミドリムシ由来の成分を使った化粧品の定期顧客数が増加していることにある。化粧品の定期顧客数は、主力商品の健康食品「緑汁」に並ぶほどまでになっているという。若年層の認知度が高い健康食品EC企業をM&Aしたり、顧客のパーソナルなヘルスケア情報を顧客自身に提供するプラットフォームを構築したりと、通販事業において新たな取り組みを次々と展開するユーグレナの福本拓元・取締役に話を聞いた。

■化粧品が成長軌道に

 ーーー17年9月期に引き続き、18年9月期の第1四半期も好調だったということですが、要因は何ですか。

 既存の、ミドリムシを原料にした健康食品「ユーグレナの緑汁」の販売が好調に推移したことだけでなく、16年5月に立ち上げた化粧品事業が好調だったことも、好業績をけん引してくれました。化粧品が緑汁に次ぐエース商品に成長したのだと考えています。
 17年9月期の通販事業の売上高は前期比で35%増になりました。17年9月末時点の定期顧客数は21万人で、当初計画していた20万人を上回りました。
 2年ほど前から、「緑汁」を販売していくだけでは会社として継続的な拡大が難しくなるのではないかと、考えていました。当社のような、単品通販の定期購入モデルの通販事業においては、複数のエース商品を展開していくことが、継続的に事業を拡大する上で重要だと思っています。当時は、「緑汁」が、認知度・売り上げともに、一定規模まで育ってきており、次のエース商品を育成していかなければいけないと考えていた時期でした。
 そうした背景の中、2016年5月に「ONE(ワン)」という化粧品を発売。17年9月期は、この商品の販売に大きな力を注ぎました。この商品の売り上げが高い伸長率を示したことが、通販事業全体の成長をけん引してくれたと感じています。
 従来は「緑汁」の一本足打法でしたが、新たに育成を始めた、2番目のエース商品が、うまく成長軌道に乗り始めたのが17年9月期だったのだと、今は総括しています。

 ーーー「ワン」が伸びた要因は。

 タイミングがよかったこともあると思っています。「ミドリムシという素材が体にいい」という認知が高まってきたタイミングで、当社の売り上げが好調に推移していたこともあり、大きく広告展開できたのが良かっただと思います。
 12年に我々が通販事業を開始したころには、すでに市場で「ミドリムシは体にいい」という認知が浸透しつつありました。我々の調査では12年の時点で、一般的なミドリムシの認知度は5%以上に達していました。こうした状況下ならば、自社でしっかりと広告を打って投資をしていけば、ある程度の効果が得られると考えたのです。
 当社独自の広告展開はもちろん、OEM提供をしている武田薬品工業の広告投資があったこともミドリムシの認知拡大には貢献したのでしょう。化粧品の販売を開始した16年5月には、健康志向の強い中高年以上の方の、ユーグレナの認知度はかなり高まっていたと思います。
 ユーグレナの認知度が高まっている世代に対して、ユーグレナを使ったオールインワン化粧品をPRすれば、口から入れるものではないけれど、ある程度のレスポンスがとれるのではないかと、考えたのです。

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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