【プラスワンインターナショナル 新開 強 代表取締役社長】オリジナル品ECで売上20億円に迫る

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
新開 強 代表取締役社長

新開 強 代表取締役社長

プラスワンインターナショナル(本社香川県、新開強社長)は、顧客が指定するデザインをプリントした「オリジナル商品」のネット販売で、国内トップシェアを握る。対象商品をウェアだけでなく、生活用品や食器、販促品まで広げたことにより、オリジナル商品の売上高は20億円に迫る規模にまで成長した。昨年からは、多くの顧客や会員を持つ企業と組んで、オリジナル商品の製造・販売を請け負う新事業にも注力している。オリジナル商品市場の開拓に奔走する新開社長に、同社の強みや今後の展望について聞いた。

 -貴社が扱うような「オリジナル商品」のEC市場の現状をどう分析しているか。

 Tシャツやその他のウェア、さまざまなグッズに、お客さまからいただいたデザインをプリントし販売する業界は「プリンタブル業界」と呼ばれている。オンリーワンの商品を求める消費者のニーズが拡大していることもあり、この業界の市場自体は拡大している。そのため、参入企業も増えている。ただ、この業界は差別化が難しいため、価格競争が進んできた。
 どこの会社が扱う商品も、メーカーはほとんど一緒であるため、商品で差別化は難しい。デザインはお客さまからいただいたデータを忠実にプリントするため、デザインでも差別化はできない。後発企業は価格で勝負を仕掛けることもあり、値下げ合戦になる。ただ、価格競争も現在は落ち着いている。これ以上は価格を下げられないところまできているということだろう。

-どのように他社と差別化しているのか。

 接客面を強化している。当社では10人のデザイナーを抱えており、そのデザイナーが直接お客さまからデザインの要望を聞き、納得のいくデザインに仕上げている。デザイナーがお客さまと直接やりとりするのは、当社だけだと思う。お客さまが店頭でオリジナル商品の製作について相談できるリアル店舗の展開にも注力している。本社がある香川県高松市だけでなく、東京の渋谷、秋葉原、池袋、そして北海道、千葉、大阪、福岡にリアル店舗を構えている。接客面で優位性を出せるのもいち早くシェアを獲得できたからだ。

-プリンタブル商品の販売を始めたきっかけは。

 私は元々、洋服のセレクトショップを経営していた。自らデザインを学び、オリジナル商品を製作し、販売もしていた。セレクトショップだけではなかなか商売にならないと考えていた時に、地元のラーメン店の社長から、「デザインできるならスタッフのTシャツを作ってくれ」と頼まれたことがあった。これは商売になるかもと思い、まずはおそろいのTシャツを作りそうな学校に営業で回った。さまざまな伝手をたどり、先生と会って話をしたところ、ニーズがあることはわかった。注文をくれるケースもあり、商売にはなったが、一人でやっていても限界があると感じていた。
 そんな時にある先生から、「ネットでやったらどうだ」と言われた。高松にいて事業を伸ばそうと考えれば、確かにネットを使った方が得策だと思った。ネットについては素人だったが、04年にECサイトを作り、ネット通販を始めた。オープンした12月は、メーン商材のTシャツの販売については閑散期にあたったが、試しにネット広告を打ったところすぐに見積もり依頼の連絡がきた。これはいけると思った。

-どのようにシェアを拡大していったのか。

 当時はオリジナル商品の注文をネットで受けて製作・販売する事業者もさほど多くなかった。そんな中、当社はネット広告を打ちながら市場を開拓していった。とにかく当社のサービスを知ってもらい、使ってもらうことで顧客を増やせると考えていたのだ。
 顧客の要望に応じて対象商品も広げていった。当初はTシャツやポロシャツ、ブルゾン、トレーナーといったウェアが中心だったが、バッグやタオル、キャップあたりから始まり、今ではスマホケースなどにも対応できる体制を整えた。メガネのフレームや、お菓子にオリジナルのデザインをプリントしたいといったニッチなニーズにも対応している。当社でできることは全部やろうと思い、商品の仕入れ先を開拓したり、加工方法を研究したりした結果、これだけの商品に対応できるようになった。
 ただ、最近は状況も変わってきた。ネット広告を打てば打つだけ反響があるというような状況ではなくなってきている。顕在化しているオリジナル商品市場は成熟期に入っている。これからは新たなニーズを掘り起こしていかないといけないと考えている。


(続きは日本ネット経済新聞 10月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ