〈20年に年間売上高100億円達成を目指す〉Tokyo Otaku Mode 亀井智英CEO/15億円の資金調達 海外EC事業強化に充当

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Tokyo Otaku Mode 亀井智英 CEO

Tokyo Otaku Mode 亀井智英 CEO

 漫画など日本のサブカルチャー関連グッズのECを手掛けるTokyo Otaku Mode(トーキョーオタクモード、本社米国デラウェア州、亀井智英CEO)は9月25日、海外需要開拓支援機構(本社東京都、太田伸之社長)から、今後3年間で最大15億円の資金調達を受けると発表した。調達資金は主にEC事業の強化に充当する。20年に年間売上高100億円の達成を目指す。取扱商品は、国内外の正規販売事業者やメーカーなどの権利者から販売許可を取得したもの。亀井CEOに海外EC事業立ち上げの経緯や増資後の事業戦略を聞いた。

2品目からEC開始

 ─創業時の取り組みについて教えてください。
 当社は11年3月、「フェイスブック」を使った、日本のアニメや漫画関連の情報発信を行うネットメディアとしてスタートしました。会社立ち上げ前から日本のコンテンツを海外に向けて発信するビジネスを検討しており、情報量が多く更新性が高いアニメや漫画に注目しました。
 秋葉原など関連イベントが活発な地域の情報や、日本でしか流通していない商品情報を発信したところ、現在「フェイスブック」のページは約1600万人が登録するなど支持を得ています。99%が海外からの閲覧者で、日本の漫画・アニメに関する情報を集める手段として海外のファンの認知を広げていきました。
 ─EC事業を立ち上げた経緯は。
 サービス開始当初から、日本のアニメや漫画関連のグッズを正規で手に入れる手段が少ないとの声をユーザーからいただいていました。そこで、ネットメディアの広告事業が軌道に乗った後、自社の収益確保の手段としてEC事業を立ち上げようということになりました。自社で販売チャネルを持つことで収益を明確にし、提携する事業者の拡大を図りました。13年9月にサイトを本格的に立ち上げ、ECを開始しています。販売品目は日本国内で一般流通しているグッズのほか、クリエイターが作ったイラストなどの創作物も許諾を得て取り扱っています。
 サイト開設時は、著作権のない販売許諾が得やすい商品から海外向け販売を始めました。権利者との交渉を重ね、現在は約1万品目以上の商品を販売しています。
 ─ECの立ち上げにあたり苦労したことは。
 販売権の調整が大変でした。国内で仕入れる際でも著作権を持つ権利者やグッズを作るメーカー、小売事業者からの許諾が必要です。海外に販売する場合、さらに現地で商品の販売権を持つ会社と交渉する場合があります。
 当社のECサイトでは正規に製造された商品で、販売事業者から許諾を得た商品のみを取り扱っています。権利者やメーカーにも利益を還元できるようにして、日本のアニメ・漫画関連産業全体の商機拡大につなげることを目指しています。
 アニメや漫画に直接関係のない商品も販売しています。最近も、富山県のメーカーが作った丸めると寿司の形状になる靴下が人気を集め、海外テレビ局などから取材が殺到したこともありました。
 ─海外での販売権獲得にはどのような体制で臨んでいますか。
 現在、6人のチームが権利関係の調整に対応しています。まず国内権利者と交渉を行い、必要に応じて国内外の販売事業者と販売に関する許諾の調整をしています。「ドラゴンボール」のような複数メディアで展開している人気作品だと、アニメ版、漫画版といった媒体別、さらに国や地域別に販売権が分かれていたこともあります。

(続きは本紙11月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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