〈EC物流〉 コロナで迫る年末危機/求められるEC事業者の”オフピーク施策”

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コロナでEC需要が高まる中、年末の配送がひっ迫する恐れも(写真はイメージ)

コロナでEC需要が高まる中、年末の配送がひっ迫する恐れも(写真はイメージ)

 ある大手宅配会社の担当者は、「今年はコロナの影響で物量が増えており、久しぶりに年末配送が滞らないか注視している」と言葉を漏らした。新型コロナウイルス(コロナ)の感染拡大により、EC需要が高まっており、年末はさらに高まることが予想されている。EC事業者は未体験の状況に備える必要がありそうだ。宅配会社の企業努力だけに頼らず、EC事業者が主体的に配送の時期や受け取り方法などの分散を促す「オフピーク施策」が求められる。

 コロナの影響で「楽天市場」は前年比50%増のペースで流通総額が伸びている。食品や日用品、インテリア、DIYなど巣ごもりに好まれる商材を扱う店舗では、それ以上の増収率を上げているケースも見られる。
 年末商戦ではさまざまなセールが展開される。特に食品は、おせちやパーティー需要で注文が増えるシーズンだ。正月休みの旅行を控える人は増えると見られており、混雑するリアル店舗を避けて、ECで食品や正月休みを過ごすためのアイテムを購入する人が増えそうだ。
 コロナで高まっているEC需要が、年末にもう一段高まる可能性があり、こうした予測が大手宅配会社の懸念につながっている。


■物流危機は未解決

 EC市場の拡大に伴う配送物の増加により、物流がパンクする「宅配危機」が叫ばれるようになった。宅配会社の業務改善や、EC企業の配送の分散、受け取り方の多様化などにより、危機は過ぎ去ったように感じているEC事業者は多いかもしれないが、需要と配送インフラのギャップという根本的な課題は解消されていない。
 今回、コロナでEC需要が急増したことで、その課題はより差し迫った問題となりそうだ。置き配やロッカー受け取りなど、受け取り方の多様化により、再配達を減らす環境は整備されつつあるが、まだ消費者の意識や準備は追い付いていない。
 今年の年末は、インフラは未整備な中で急増する物量に何とか対応していかなくてはならない状況なのだ。


■時期・方法を分散

 宅配会社の企業努力だけで年末物流危機を乗り越えることは難しい。荷物を出す側のEC事業者にもできることがあるはずだ。
 EC事業者が取るべき対策は、「集中を避ける」ことに尽きるだろう。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月1日号で)

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