メンズ向けの美容品のEC事業に進出する動きが活発化している。男性向けのスキンケア、メーキャップ、ブランドアイテムを取り扱うEC事業者は足元の売り上げが伸長。ニーズの高まりに加え、在宅率の向上がECサイトへの流入を後押ししており、広告出稿による認知拡大が売り上げをけん引している。メンズスキンケアECのバルクオムは6―7月度の国内EC売上高が前年同期間の約2倍となった。ランクアップが7月にメンズ向けスキンケアブランドを立ち上げたほか、EC以外の企業による参入も相次いでおり、メンズ向け美容ECのシェア獲得に乗り出している。
■足元の伸長目立つ
バルクオムは、6月度の国内EC売り上げが前年同月比103%増で、7月度は同94%増となった。
6月度は「店頭の売り上げが一気に伸びた。店頭売り上げは、昨年の6月度と比較して2倍以上になったと思う」(国内事業本部・高橋文人氏)と話している。
タレントの木村拓哉を起用したテレビCMが奏功したとみている。一部の商品は欠品したという。現在、売上高の8割以上をECが占めている。今後は店頭への卸売りの販路も拡大していく考えだ。
バルクオムは20年、新型コロナウイルスに伴う在宅率の高まりとともにEC売り上げが拡大。5月度は同150%増、4月度は同165%増だったことを踏まえると、6月度と7月度の伸長は緩やかになったが、依然として倍増ペースが続く。
「7月~9月は(広告出稿などの)プロモーションをあまりかけない時期。継続的なところでいうと大きなダウントレンドはなく、自社でコントロールできる広告費に沿って落ち着いている状況」(同)と話している。
エステ事業や化粧品販売のミス・パリは、メンズ向けECサイトでオールインワンジェル、クレンジングフォーム、スキンローションを取り扱っている。20年1月~6月の売り上げは、前年同期比58%増だった。最も伸長が著しかった4月度の売上高は同226%増だった。
エステサロンへの来店が難しい状況が続く中、会員向けのアプリや電子メール、ホームページを通じて、自社ECサイトへの誘導に力を入れた。
7月度の売上高は、7月31日時点で同17%増となった。オールインワンジェルが売り上げをけん引し、ジェルの売上高は同47%増となった。
(続きは、「日本ネット経済新聞」8月6日・13日合併号で)
〈メンズ向け美容品EC〉 他業種からの新規参入活発/直近売上が前年倍増の例も
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