〈インテリアEC〉 逆風でも業績伸長目立つ/独自品強化で利益4倍の例も

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 消費増税や配送費高騰など逆風が吹く中、大型商品をECで販売するインテリア企業の好業績が目を引く。フレーバーは自社のオリジナル商品を販促の軸に切り替える施策で19年9月期の営業利益が前期の4倍に増えた。NOYES(ノイエス)は、ブランディングの強みを生かし、増税の影響を受けずに直近の第3四半期業績で増収増益を達成した。インテリアオフィスワンでは、梱包サイズを小さくするなどの施策が奏功し、営業利益が2桁増となった。業績を伸ばす企業の施策を紹介する。

■顧客と「良さ」共感

 家具やインテリア商材を販売するECサイト「Re:CENO(リセノ)」を運営するフレーバー(本社京都府、山本哲也社長)の19年9月期のEC売上高は、16億8000万円で前年と比べ微減だったが、営業利益を前期比4倍に大幅アップさせた。
 前期は、自社のオリジナル商品の販促を強化すると同時に、「当社と顧客がともに共感できる情報の訴求をしっかりと行った」(山本社長)と話す。
 具体的には、「心地の訴求」「商品の制作過程と思い」「商品のこだわりポイント」「こういう人に買ってもらいたいという理由付け」の四つを軸に、サイト作りやオウンドメディアを活用して顧客に情報を提供した。
 同社は、14年ごろから家具やインテリアのオウンドメディア「Re:CENO Mag(リセノマグ)」の運営を行っている。現在、サイトには1日5000人が訪れる。「5年経過した今、メディアとECの双方が結びついてきた」(同)と言う。
 同社のECサイト上には2万~3万SKUの商品が掲載されているが、売り上げの約40%以上を占めているのが、15年から開発を始めた自社のオリジナルブランド「Re:CENO product(リセノプロダクト)」だ。ブランドのコンセプトは「生活の負を取り除いた、心地を追求する」。このコンセプトを軸に、製作の工程や工場の様子、作り手の思い、価格設定の理由、こだわりポイントなどを紹介し、顧客の共感を得ている。
 同ブランドの商品数は全体の3~4%程度だが、売り上げでは40%以上を占める。価格が10万円以上するソファーの販売が伸びるなど、高単価商品の販売にシフトし、利益率の向上につなげた。


■ブランドを伝える

 ソファ専門店として創業17年目を迎えるノイエス(本社愛知県、牧謙次郎社長)の19年3―11月期(第3四半期)のEC売上高は、前年同期比12%増で、営業利益は同1.6倍となった。
 同社はソファ専門店として創業と同時にECを展開し、EC売り上げが大半を占める。平均購買単価は20万~25万円で、年々、顧客の購買単価が上がっているという。
 高価格帯の商品を販促するために、「単にソファを売るのではなく、ノイエスのソファとしてのブランドを顧客に伝えている」(牧社長)と話す。「ソファを軸に、顧客との関係をいかに構築していくかがとても重要」(同)としている。
 同社は、3年前から一般ユーザーが生成するUGC(ユーザージェネレイトコンテンツ)を使って集客を強化。ソファを購入した顧客の写真を掲載し、各ページのトップには、家族や子どもがソファで楽しんでいる画像や映像を紹介している。UGCを軸にしたサイト作りを行っている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月27日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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