〈auコマース&ライフ〉 八津川博史社長/店舗スコアで検索上位に

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 ECモール「Wowma!(ワウマ)」を運営するKDDIコマースフォワードは4月1日付でルクサと合併。社名をauコマース&ライフ(本社東京都、八津川博史社長)に変更した。新会社の位置付けや狙い、4月からの新年度におけるワウマの戦略を八津川社長に聞いた。

■店舗で入会促進

 今期からKDDIコマースフォワードとルクサを統合して、auコマース&ライフに社名変更した。社名が意味するのは、auというキャリアのお客さまに向けたコマースではなく、オープンにしてくことを前提としている。auというブランドはキャリアのブランドだけでなく、もっと広くて誰もが使っているブランドになることを想起して社名をつけた。
 コマースはECだけでなく、リアルな商業活動も含めたコマースと位置付けている。&ライフはライフスタイルやライフデザインをイメージしており、人々の生活や暮らし、スタイルそのものを提案して作り上げていくみたいな、そういう会社でありサービスを提供したいと考えて命名した。
 19年度の戦略はauのベストコマースをきっちりとやりきることだ。そのためには、国内で3分の1を占めるauユーザーを生かし切れていないので、ここをすべてワウマに流し込む形にする。
 もう一つはエンゲージメント、つまりお客さまとの関係値や、お客さまとの愛着といったことを高めていくことで強化していく。
 18年よりショップ全店でワウマへの入会促進を行っている。これがワウマの新しいブースターとなり、量的な拡大とともに、あまりECに慣れていない、初めてネットで買い物をするようなお客さまとのタッチポイントだと捉えている。


■タイムライン投入

 さらに「店舗スコア」というものを導入する。ECに慣れ親しんでいないお客さまへの購入体験や、おもてなしが大事だと思っている。店舗さまの中でも、特に安心して利用できる、お勧めできる店舗さまには、そういうお客さんと接点を持ってもらいたい。
 店舗さまには、基本要素や追加要素、ペナルティーで点数化をして、管理画面上にスコアリングを公開する。ユーザーには7月から、このスコアに基づいた検索結果が導入されるので、まず4月から7月の間にしっかりスコアを固める期間にしている。
 店舗さまのメリットとしては検索順位が良くなる。モールがすべからく同じ条件で店舗を支援するよりは、やはりスコアが高い店舗さまと一緒に場作りをしていきたい。より良い購入体験をしていただくことが、次の来訪や次の買い物につながる。そういったところは強い意志を持って、サービスレベルを整えていきたい。
 エンゲージメントの部分ではタイムラインを新しく投入した。われわれならではのタイムラインで、すでに店舗さまからも反響をいただいている。
 お気に入りの数をお店単位、商品単位でどんどん登録していただく。そこに対して、店舗からフリーでメッセージが送れる機能になっている。お気に入りを入れているお客さまと、購入者数にはギャップがある。
 しかし、商売として考えたら、お気に入りには入れているのだけれども、まだ買っていないお客さまの方が伸びしろとしてはあると思っており、ここの部分でどれだけ店舗にリレーションを深めてもらうかというところに注目している。お気に入りに入れたお客さんに、再訴求としてタイムラインでどんどん追客ができるようにしている。


■連携を積極展開

 ワウマ全体の流通額のうちほぼ半分がアプリで売れている。その中でもリピートユーザーというか、安定的に利用してくれるお客さまがアプリにたまっていくような構図になっており、ポイントプログラムもアプリで買った方が1%多くつく。
 メールからウェブに来るよりも、アプリは常にタッチポイントが近い。そのセンターにタイムラインが入っている。一つのキラーアイテムとして投入した。
 あとはパートナー連携を積極展開する。楽天との物流連携や、インアゴーラとの越境ECの部分だ。ワウマは国内なので、中国への進出については、インアゴーラのサービス「ワンドゥ」を利用していただく。インアゴーラはKDDIが出資しており、初期費用や固定費は不要で利用できる。
 あとは「ワウマサロン」という限定された優良コミュニティーを開設予定。店舗が店舗を支援したりするほか、新会社になったことでメーカーさんとの付き合いが増えている。メーカーとわれわれが持っているパイプを、店舗さまとか店舗さまのグループに結び付けることで、新しい商品を作れる可能性も考えられる。こういった新しいECのカタチを作っていきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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