【〈2018年度〉ネット通販売上高ランキング】 アマゾンと楽天で寡占/大手のモール連携がさらに進むか

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■両社の強みと弱み

 アマゾンが言葉通り”桁違い”の成長を続けている。ランキング表には、マーケットプレイスの出品手数料などを含む日本事業の売上高を掲載したが、直販事業と出品事業ともに大きく成長しているとしている。直販事業と出品事業を合わせた流通総額は2億円を超える規模に成長しているみられる。
 「楽天市場」も流通総額では2兆円を超えているとみられる。そのため、国内のEC市場は「アマゾン」と「楽天市場」で4兆円以上を占める状況だ。
 経済産業省によると18年のBtoCにおける物販系分野の市場規模は、9兆2992億円だという。この市場規模をうのみにすれば、市場の約半分が「アマゾン」「楽天市場」となる。まさに2強時代といえるだろう。
 2強の中でも直販型のアマゾンの方が、物流やデザインなどを強化しやすく、UI/UXでは優位といえる。楽天はアマゾンが出鼻をくじかれたポイント施策や、携帯キャリア事業などでユーザーをいかに囲い込みできるかが勝負となる。
 大手小売りやメーカーは「楽天市場」の方がアライアンスによるメリットを享受できそうだ。ビックカメラと合弁会社を設立したように、リアルとネットで「楽天経済圏」を広げたい楽天は、大手との連携を強化するだろう。
 競合を出し抜き、楽天との連携を模索する大手の動きがさらに加速するかもしれない。


■オムニでEC化促進

 ランキングの上位は、モール系、BtoB系、家電系、アパレル系が大半を占めている。特にアパレル系には2桁成長を遂げている企業が多い。これはオムニチャネル展開を加速し、目減りするリアルの売り上げをネットで吸い上げているからだ。この傾向はしばらく続きそうだ。
 アマゾンと競合する家電事業者は今後、さらに厳しい競争を強いられそうだ。ヨドバシカメラのように独自路線でアマゾンと真っ向勝負するか、モールでの販売促進を続けるか、いずれも成長し続けるのは簡単なことではない。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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