楽天の越境EC 〈流通額は5年で8倍〉/中国モールと連携、売れ筋拡大

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 楽天の越境EC支援事業が急拡大している。外国語版の楽天市場の成長に加えて、中国の大手モールと連携した販売体制を構築したことにより、楽天が手掛ける海外向け流通額は5年間で8倍に拡大した。特に最近ではナショナルブランドの商品だけでなく、ファッションなどの流通額が伸びているという。
 楽天の越境EC支援サービスには(1)マーケットプレイス(2)海外旗艦店(3)国際物流─という3事業がある。マーケットプレイス事業のメインサービスは、楽天市場の外国語版である「Rakuten Global Market(ラクテングローバルマーケット)」。楽天の出店企業であれば、初期費用・固定費用無料で、同サービスを通した海外販売を開始できる。
 商品掲載ページは4カ国語(英語・簡体字中国語・繁体字中国語・韓国語)に自動翻訳。決済もクレジットカード以外に、欧米人の利用率が高い「ペイパル」、中国人向けに「アリペイ」「銀聯」などを採用できる。
 海外のユーザーが購入した商品は、楽天の管理画面から国際スピード郵便(EMS)の自動印字サービスを活用すれば、配送伝票を手軽に作成可能。
 海外ユーザーが複数店舗の商品の配達をまとめて依頼できる国際物流サービス「Rakuten Global Express(ラクテン・グローバル・エキスプレス)」も提供している。


■中国向けに新たな販路

 楽天の海外販売における国・地域別の流通額ランキングは1位が中国となっている。中国向けは17年の流通額が前年比約4倍と急成長している。
 「楽天の越境EC事業は10年以上の歴史がある。2年前からは中国現地のマーケットプレイスに楽天が出店し、楽天市場で人気の高い商品を販売している。現地でも知られているナショナルブランドの商品だけでなく、売れ筋が広がっている」(ECカンパニー クロスボーダー・トレーディング課シニアマネージャー・高橋宙生氏)と見ている。
 楽天は中国の越境ECサイトでトップシェアの「Kaola(コアラ)」と、シェア4位の「JD Worldwide」に旗艦店を出店している。
 男性ユーザーが比較的多い「JD Worldwide」では家電商品やスポーツ用品などの売れ行きが良く、女性ユーザーが多い「コアラ」では、ファッションアイテムが販売好調だという。
 「出店先の特徴や販売動向を分析し、戦略を練っている。コアラとはファッション領域において提携しており、楽天で人気の商品が売れるようになってきた。コアラのユーザーにも楽天ブランドが徐々に浸透してきた」(同)と話す。
 中国のECモールに自社の商品を出したい店舗は、楽天のECコンサルタントを通して提案できる。商材によっては楽天が商社として商品を買い取り、海外販売を行うケースもある。


■展示会で詳細解説

 楽天は4月10日、東京ビッグサイトで開催する「ダイレクト・マーケティング・フェア」内で越境EC支援事業に関するセミナーを開催する。
 楽天のクロスボーダー・トレーディング課・高橋シニアマネージャーが、「進化を続ける越境ECと成功のヒント」と題して講演する。セミナーでは、具体的なノウハウや販売事例を詳細に紹介する。
 セミナーの詳細は次の通り。
 ▽日時 4月10日(火)午後2時30分〜午後3時20分
 ▽会場 東京都江東区有明3—11—1東京ビッグサイト西3ホール
 ▽参加費 無料
 ▽申込先 https://www.bci.co.jp/dmf/seminar/147

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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