和歌山県/EC企業の勉強会が県の事業に/事業者間で協力しEC拡大

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100社以上の会員を擁する「和歌山県eコマース研究会」

100社以上の会員を擁する「和歌山県eコマース研究会」

 和歌山県はこのほど、17年度予算に「eコマース推進事業」を盛り込むことを決定した。EC支援関連予算が盛り込まれたのは同県では初。これまで県内のEC事業者が主催してきた「和歌山県eコマース研究会」を、同県が資金的にも支援する。和歌山県では、既存のビジネスの縮小を受けて、創業家の2代目・3代目が主導するかたちで、ECに参入するケースが目立つ。そのためか、事業者間での情報交換や協業も活発。「eコマース研究会」もその表れの一つといえるだろう。



■2〜3代目主導多く
 和歌山県は、県別のGDPでは全国37位だが、ECの売り上げでは全国でも比較的上位となっており、EC先進県の一つといえる。ウメやミカンなどの特産品ECが盛んであるだけでなく、家具やウナギ、飲料などについても人気ショップが誕生している。
 和歌山県のEC事業者をまとめてきたのが「和歌山県eコマース研究会」だ。飲料ECを98年から手掛けるナカヱ(本社日高郡印南町、中江稔浩社長)の中江社長が旗振り役となり、14年に設立。現在は100社以上が会員になっている。外部講師を招いて毎月セミナーを開催しているほか、実務担当者が参加する勉強会も随時催している。
 和歌山県はこのほど、17年度予算に初めて、県内EC事業者の支援事業を盛り込んだ。同研究会はこれまで、(独)中小企業基盤整備機構(中小機構、本部東京都)の支援を受けていたが、県による補助金などの仕組みは設けられていなかった。
 和歌山県のEC事業者に特徴的なのが、創業者から2代目、3代目にあたる人物が主導してECに参入するケースが多いことだ。先述の中江社長は飲料問屋の2代目にあたる。ECサイト「うなぎ屋かわすい」で知られる川口水産(本社有田市、川口泰史社長)の川口博司取締役も同社の3代目だ。
 既存の取引先の縮小や、販売価格の暴落などが、県内事業者がECに参入するきっかけになることも多い。高級なミカンや梅干しの卸販売は、百貨店の減収と共に規模が縮小する傾向にある。伊藤農園(本社有田市、伊藤修社長)の4代目にあたる伊藤彰浩専務取締役は、「実家の催事販売を手伝いながら、この仕事を残したいと思って和歌山に戻り、通販事業を立ち上げた」と話す。同様のエピソードを持つ県内EC事業者は多いという。
 EC事業者間で先代からの長年の取引があるといったケースも多いことから、業界内での情報交換や協業の取り組みも進んでいる。

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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