クロレラチラシ問題/最高裁「広告も『勧誘』に当たりうる」/ネット上の表示にも影響か

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 適格消費者団体の京都消費者契約ネットワーク(KCCN、事務局京都府、高嶌弘理事長)が、健康食品通販のサン・クロレラ販売(以下サ社、本社京都府、北澤誠一社長)に対し折り込み広告の差し止めを請求していた訴訟で、最高裁判所第3小法廷(山崎敏充裁判長)は1月24日、「広告も『勧誘』に当たりうる」旨を盛り込んだ判決を下した。ただ、「サ社はチラシの配布を止めており、差し止めの必要性はない」としてKCCNの請求は棄却した。広告も勧誘に当たる可能性があるとした判決は、紙媒体だけでなく、ネット上の表示にも影響を及ぼしそうだ。
 KCCNは13年10月、サ社に対し「日本クロレラ療法研究会」名義でのクロレラの薬効を記載したチラシの配布について差し止めを請求する訴訟を提起。以降、「広告が消費者契約法(消契法)上の勧誘に当たるか」などを争点に、KCCNとサ社の法廷闘争が続いていた。16年1月の控訴審判決では、「サ社がチラシの配布を止めており、差し止めの必要性はない」と判断。併せて、「サ社の広告が勧誘に当たるとは認められない」という判断も示した。
 控訴審判決を不服とするKCCNは同年3月に最高裁に上告した。最高裁判決では、「広告」も、「(消費者契約法上の)勧誘に当たりうる」との新たな判断を示しつつも、結論的には、大阪高裁(江口とし子裁判長)の控訴審判決を支持。上告を棄却した。
 広告が、消契法上の「勧誘」に当たるとなると、どんな影響があるのか。消費者庁によると「適格消費者団体は当該広告について、消契法に基づく差止請求訴訟を提起できるようになる可能性がある」(消費者制度課)。これまでも、景品表示法の「有利誤認」「優良誤認」を根拠に差止請求はできた。今後はそれに加えて、消契法の「不実告知」「断定的判断の提供」「不利益事実の不告知」を根拠に差止請求ができるようになる可能性がある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ