16年に入って以降、メーカー系通販の組織再編が相次いでいる。第一三共ヘルスケアは7月1日付で、通販から事実上撤退し、通販事業を子会社であるアイムに一本化した。武田薬品工業やライオンも、通販事業の再編に乗り出している。各社が再編に走る背景には、競争が激化する通販市場の中で、成長路線へのシフトチェンジを図るため、新展開に活路を見出そうとする狙いがあるようだ。
第一三共ヘルスケアの通販はアイムが引き継ぎ
第一三共ヘルスケアは7月1日付で通販事業室を解体し、通販から事実上撤退した。第一三共ヘルスケアが通販で展開していた美容ドリンク「オールインビューティー」については、子会社のアイム(本社香川県、沼田憲孝社長)が来春から販売していく予定だという。
第一三共ヘルスケアは12年7月、独自化粧品ブランド「ダーマエナジー」を立ち上げ、通販に参入した。同年12月には、ダーマエナジーシリーズのクロスセル商品として美容ドリンク「オールインビューティー」を発売したが、初年度は目標としていた売り上げを達成できなかった。
追い打ちをかけるように、14年12月にはダーマエナジーについて顧客の肌トラブルが発生した。苦情が殺到し、販売を中止。これが事実上とどめの一撃となった。以降も、同社は通販事業を継続し、美容ドリンクの販売を行っていたが、振るわなかった。
目立った動きを控えていた中、15年11月に、化粧品「ライスフォース」の通販を手掛けるアイムの買収を発表。買収時には「(第一三共ヘルスケアとしては)アイムと通販ノウハウを共有することにより、自社の通販事業基盤の強化を図りたい」(第一三共IR)と、自社の通販事業を再生・強化していく意向を示していた。
しかしその後も第一三共ヘルスケアの通販事業に目立った動きはなく、最終的には「グループ内における通販事業はアイムに一本化することが合理的であると判断した」(経営企画部)と言う。「グループ内で二つの会社が並行して通販事業を行うのは、バッティングの可能性もあり合理的ではないと判断した」(同)とも話している。
アイムがどのように美容ドリンクの通販を引き継ぐかについては、「既存顧客の誘導なども含め、具体的な内容は未定」「美容ドリンクの販売を引き継がせること以外の内容はすべて未定」(同)としている。
アイムの16年2月期における通販売上高は、本紙推定で約5%増の60億円。SNS活用を積極化し、通販事業を伸ばしている。第一三共ヘルスケアは、そんなアイムに通販事業の未来を託したといえそうだ。
(続きは、「日本ネット経済新聞」7月21日号で)
メーカー系通販/通販事業の組織再編相次ぐ/第一三共ヘルスケアは通販から撤退
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。