日用品・食品EC/リードタイム競争激化/宅配企業はECや店頭から集客も

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らでぃっしゅぼーやは7月から期間限定で、食品スーパーに自社の野菜などを販売する専用の売り場に設置した

らでぃっしゅぼーやは7月から期間限定で、食品スーパーに自社の野菜などを販売する専用の売り場に設置した

 食品や日用品を販売するネットスーパー・EC企業の間で、新規顧客の獲得競争が激化している。EC各社は、注文から配送までのリードタイムを短縮したり、食品スーパーにも出店するなど利便性を高めている。アスクルは8月に日用品のECサイト「LOHACO(ロハコ)」で受取時間を1時間単位で指定できるサービスを開始するほか、イオンでも注文から1時間以内に商品を届けるサービスを試験的に始めている。EC以外では、首都圏で宅配事業を手掛けるコープネット事業連合が、注文から最短で翌日に配送するサービスを本格展開し、ネットスーパーやECに対抗している。一方で、らでぃっしゅぼーや、オイシックスなどの食品宅配もECから宅配に事業を拡大している。ネット、宅配、店頭などチャネルミックスの形で新規顧客獲得競争がいっそう激しさを増している。


■EC、リードタイム競争が激化

 EC業界では、リードタイムを短縮する動きが活発だ。
 アスクルは8月、都内や大阪で日用品のECサイト「LOHACO(ロハコ)」で、商品の受け取り時間を1時間単位で指定できるサービス「ハッピー・オン・タイム」を始める。購入商品の配送時刻を30分単位で顧客に通知する。商品が届くのを待つ時間を軽減し、顧客の利便性を向上させていく。
 ネットスーパー「おうちでイオン」を展開するイオンリテール(本社千葉県)は、千葉県内の「イオンモール幕張新都心店」と「マリンピア店」で、注文から1時間で配送する「お急ぎ便」を実験的に始めた。


■宅配、ネットスーパーに対抗
 
 リードタイムの短縮は、週1回の配送が基本だった食品宅配企業にも広がっている。
 6つの生協が加盟するコープネット事業連合(本部埼玉県)は7月から、首都圏で注文から最短翌日に配送するサービスを開始した。ネット宅配サービス「指定日お届けコープ」を拡充した形で、配達エリアを東京・山手線内に広げている。
 これまでは、芝浦の配送センターから出荷していたが、杉並区と新宿区にあるセンターを加えることでサービスに対応している。これまで注文から最短2日後の配達だったが、翌日配送に短縮させることでネットスーパーに対抗する。そのほか、産地や工場から直接商品を発送する「ダイレクト宅配」も始めている。
 食品宅配のシュガーレディ本社(本社東京都)では、ECサイトからの「お試しセット」販促を強化している。お試しセットの購入者を自社便の宅配サービスに呼び込みたい考えだ。4月から俳優の沢村一樹を起用したテレビCMの放送を開始。従来の新聞広告に加え、電車の広告や街頭の大型ビジョンの広告といった新たな取り組みも実施した。
 その成果が徐々に出始めている。5月度の売上高は前年同月比12.7%増だった。このうち「冷凍食品」は同12.7%増、「常温・冷蔵」は同7.5%増。「お試しセット」の購入者については、スマホ比率が8割を超え、30~50代の世帯の獲得に手ごたえを感じている。


(続きは、「日本ネット経済新聞」7月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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