仮想通貨/仮想通貨国内で普及の兆し/EC事業と親和性に期待

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 「仮想通貨」が普及する兆しが見えてきた。資金決済法の改正案が今国会で成立する見通しで、仮想通貨が「貨幣」と定義されることにより、消費者が安心して利用できる環境が整うとみられているからだ。仮想通貨による決済手数料はクレジットカードよりも低く、海外で買い物をする際の利便性も高いとされている。EC事業との親和性が見込めるだけに、ECサイトへの導入メリットが期待されそうだ。


【法改正で環境整備】
 仮想通貨は、ネット上で取引されている実態のない通貨。世界で600種類以上が流通しているという。取引所を通じて円やドルなど現実の通貨と交換できる。
 14年に仮想通貨の代表格であるビットコインに注目が集まった。当時最大のビットコイン取引所を運営していたマウントゴックスが破綻。同社の元CEOがビットコインの横領によって逮捕された。この事件により、ビットコインをはじめとした仮想通貨の安全性が疑問視されるようになった。
 マウントゴックス社の騒動により、国内でも仮想通貨の法整備が進んでいる。政府は今年3月、資金決済法の改正案を閣議決定。改正法では仮想通貨を、「通貨」と同様の機能を持つと定義している。
 国内最大規模のビットコイン取引所を運営するビットフライヤー(本社東京都、加納裕三社長)は、「金融庁から『仮想通貨はお金である』と、お墨付きをもらう形になる」(小亀俊太郎執行役員)と話す。
 仮想通貨の取引所は監査法人や公認会計士による監査を義務付けられ、利用者に不利益が及ばないよう指導される。監視体制が整うことにより、消費者が安心して仮想通貨を利用できるようになるという。
 
【国内ECでの普及は】
 国内のビットコイン利用者数は約25万人といわれている。今年中には、国内での利用者数が100万人にまで拡大すると予測されている。
 ビットコイン決済サービスを提供するレジュプレス(本社東京都、和田晃一良社長)によると、EC事業者がビットコインによる決済を導入した場合、決済手数料は1%程度だという。ECで主要な決済手段となっているクレジットカード決済の手数料が3〜7%かかるのに比べると、決済手数料の割安感が見込める。
 最短で翌営業日にビットコインを日本円に替えることができるため、キャッシュフローの面でもEC事業者のメリットは大きいとみられている。
(続きは「日本ネット経済新聞」5月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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