オンワードHD/EC、オムニ、海外展開を推進/3年後、EC売上3倍の360億円へ

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グループのブランドが購入できる公式サイト「オンワード・クローゼット」は中国語版も開設予定

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 オンワードホールディングス(HD)は4月11日に発表した中期経営計画(中計)で、19年2月期までにグループ全体のEC売上高を前期の約3倍となる360億円に拡大していくことを明らかにした。グループ全体でEC、オムニチャネル、グローバル化をさらに推進していく。16年2月期のEC化率は4%。これを19年2月期には12%まで拡大させるとしている。海外向けのECサイトやアパレルECのM&Aも積極展開して、EC売り上げを伸ばしていく計画だ。その一環として、4月1日付でEC専業のアパレルブランド、ティアクラッセ(本社大阪府)を完子会社化している。

【海外EC売上は8倍超へ】
 オンワードHDの16年2月期におけるEC売上高は120億円だった。このうち国内EC売り上げが114億円、海外EC売り上げが6億円となっている。これを19年2月期に国内310億円、海外は8倍超の50億円にしていく考えだ。
 実店舗の売り上げは3年後に海外が前期実績の21%増となる660億円を見込んでいる一方、国内は同10%減の1900億円になると見ている。EC売り上げは国内外ともに伸ばす計画を立てているものの、国内全体の売上高は同1%減となる見通しだ。
 国内の人口減少による市場の縮小や消費者の価値観の多様化に伴い、EC強化およびオムニチャネル、海外展開の推進が一番の課題になるとみている。
 アパレルブランド「23区」「自由区」「五大陸」などを展開する中核事業会社のオンワード樫山の16年2月期の合計売上高は、前期比6・3%減の1483億3200万円と微減だったが、EC売上高合計は同17・4%増の86億円と順調だった。今期は実店舗とのオムニチャネルの推進により、EC事業売り上げ100億円を目指している。

【ラオックスと合弁会社】
 3年後の目標に向け、グループ全体で海外向けECサイトの開設を急いで進めている。各ブランドの国内のフラッグシップ店舗(銀座など)ではインバウンド需要が発生しており、今後はアジア地域を中心に、海外向けECサイトと現地の実店舗を活用した顧客数拡大を図りたいと考えている。
 海外ECの拡大と訪日外国人観光客への店頭販売を連携させるため、オンワードHDは15年9月に免税店運営のラオックスと合弁会社、オンワード・ジェイ・ブリッジ(本社東京都)を設立している。海外在住の顧客に向けた施策は、同社が主体となって積極的に展開するという。
 グループの全体売り上げにおける16年2月期の海外売り上げ(実店舗とECの合計)比率は20%。これを19年2月期には24%に伸ばしていく。
 時期は検討中としているが、グループが展開するブランド製品を購入できる通販サイト「ONWARD CROSET(オンワード・クローゼット)」(運営:オンワード樫山)や各ブランドのグローバルECサイトを順次開設していく計画で、広告宣伝も世界に向けて発信していく。
 前期まで、欧州は苦戦が続いているが、中国では収益性が改善しているため、特に中国に力を入れていく。現地の主力店舗の売り上げ拡大とECの推進を同時に図っていく。

(続きは「日本ネット経済新聞」4月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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