機能性表示食品/EC企業の活用例続々/「CPOが半分に」と言うケースも

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 行政による個別審査なしで食品の機能性を表示できる「機能性表示食品制度」施行から丸一年が経過した。機能性表示食品の販売が好調に推移するメーカーや通販事業者も出てきているようだ。4月11日現在で届け出が受理されている機能性表示食品は284品目。事業者の動きを中心に、制度の運用状況など、最新動向をまとめた。

【えひめ飲料はECサイトでの販売好調】
 通販企業がECサイトで、新制度をうまく活用して売り上げを伸ばす事例が少しずつ出始めている。
 アイケア機能性表示食品を15年10月にリニューアル発売したリフレ(本社埼玉県、勝田徹社長)では、機能性表示食品化したことにより、商品の訴求力が上がり「CPOが半分になった」という。
 リコピンサプリメントを機能性表示食品として16年3月に発売したカゴメも「ネット通販を中心に初動は好調だった」と話している。
 ポンジュースで有名なえひめ飲料(本社愛媛県)は、16年1月にみかん飲料「POMアシタノカラダみかんジュース」を、ネット通販メーンで機能性表示食品としてリニューアル発売した。初月の販売数は前年同期比で2割増になったという。
 健食EC企業のインマイライフ(本社熊本県、豊原龍太郎社長)はOEMメーカーの協力を仰ぎながら機能性表示食品を開発し、今年2月に届け出が受理された。今年4月1日から発売を開始したばかりだ。

【〝考査″の厳格化が届け出の契機に】
 EC企業が、機能性表示食品化を図る背景は、各社さまざまだ。
 ネット通販やラジオ通販をメーンに健食・化粧品を販売するリマックスジャパン(本社京都府、野神直隆社長)は、ラジオ通販の考査が厳格化したため、やむなく機能性表示食品の届け出を行ったという。「機能性表示食品制度が始まったことでラジオ通販の考査が厳しくなり、これまで可能だった商品説明ができなくなった」ことが、機能性表示食品開発の契機になったという。
 通販企業向けコンサルティング会社の子会社として、昨年設立された健食通販会社プログレ(本社福岡県、塩田大輔社長)も同様に、考査の厳格化が届け出のきっかけとなったようだ。「ヤフーに広告を出稿する際の厳しい考査が機能性表示食品の開発を目指すきっかけになった。今後の新商品も、機能性表示食品を基本とする考えだ」と話している。

【「セサミン」「抗酸化」の届け出も受理】
 これまで届け出が受理されている機能性表示食品をみると、難消化性デキストリンを機能性関与成分とする食品など、成分も表示も似たり寄ったりな〝ゾロ品″が増加する傾向にあった。新規の機能性関与成分や機能性を認めてもらうよりも、すでに実績のある成分、機能性で届け出を行った方が、スムーズに受理される傾向があるからだ。
 そんな中消費者庁は3月16日、サントリーウエルネス(本社東京都、川崎益巧社長)の主力サプリメント「セサミンEX」について機能性表示食品の届け出を受理した。「セサミン」を機能性関与成分とした機能性表示食品の受理は初となった。
 表示しようとする機能性は「本品はセサミンを含み、抗酸化力を向上させ日常的に疲れを感じる方の寝つき、眠りの深さ、寝覚めという体調の改善に役立ちます」というもの。「抗酸化」の文言が入った機能性表示について、届け出が受理される初のケースとなった。
 消費者庁食品表示企画課の担当官は制度施行前の15年3月、「抗酸化」の機能性表示の実現可能性について「科学的見地からすると難しいと考えている。人体において抗酸化することが健康の維持・増進にどう寄与するのかを科学的に説明するのが難しいように思うからだ。ただ、できないということではない。健康の維持・増進に資するということを、科学的根拠をもって説明できれば機能性表示もできるのではないか」との見解を示していた。

(続きは「日本ネット経済新聞」4月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ