ECでレンタル広がる/”体験”の提供で顧客の引き上げも

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バスリエは設備に500万円をかけた

バスリエは設備に500万円をかけた

ECによるレンタル事業が広がりを見せている。従来はCDやDVD、データ配信などコンテンツ商品が一般的だったが、近年は衣料品、家電、家具、日用雑貨といった商品ジャンルにも拡大。15年はベイシア電器、クロスカンパニーなどが新たにサービスを開始している。購入を検討している商品の”体験”を提供して、見込み顧客からの引き上げや返品率の改善などの効果に期待を寄せている。

ミスマッチを防ぐ

 「レビューを閲覧すると、商品に対する手厳しい意見もある。逆にとらえると、利用者は不要な商品を買わずに済んだことになる」。DMM.comのレンタル事業部はこう話す。
 同社の「いろいろレンタル」は、家電や家具、日用品、旅行用品などジャンルは多岐に渡り約4100品目を扱っている。今期(16年2月期)の売り上げは前年比約20%増を見込んでおり、10年5月のサービス開始から累計10万人が利用している。「レンタルするという文化が定着してきたのでは」(同)と分析している。
 枕のECサイトを運営する、まくら(本社千葉県、河元智行社長)がレンタルを開始したのは、返品に関する問い合わせがきっかけだ。枕を店頭で試すのと自宅で利用するのでは、睡眠の心地よさで違いがある。こうしたミスマッチで生じる返品率は、レンタル開始以降、半減したという。
 プレジャライフ(本社東京都、濱野翔伍社長)では、通常9612円で販売するワイシャツを、月額980円で貸し出している。一般的に流通しているシャツよりも若干価格が高く、手が出しにくいということがあったためにレンタルサービスを導入した。高級ワイシャツを安価で手軽に試せるというメリットで訴求している。


業務は自社か提携

 バス用品を販売するバスリエ(本社千葉県、松永武社長)のシャワーヘッドレンタルは、洗浄、乾燥、消毒まで全て自社で手掛けている。こうした設備投資に30万円をかけたが、レンタルの需要が高まってきたため、約500万円をかけて大量の洗浄を可能にする設備に切り替えた(写真)。業務用食器洗浄機で洗浄し、乾燥機にかけた後、消毒して衛生を保っている。
 他社との提携を強化する取り組みもある。
 衣料品レンタル事業を行うエアークローゼット(本社東京都、天沼聰社長)は1月、複数社から約10億円を資金調達した。同社に出資した企業は倉庫やクリーニング業務を手掛けており、他分野を得意とする企業と提携を強化して、オペレーションと商品の品質の向上を目指している。

(続きは日本ネット経済新聞 1月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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