【カタログからの分析/通販会社調査隊】97 タキイ種苗「花と野菜ガイド」/農業・園芸初心者に分かりやすく

 昨年創業180周年を迎えたタキイ種苗(本社京都府、瀧井傳一社長)は日本で初めて種苗の通販を開始した。1905年に、石版刷りのカタログを発行し、通販事業を始めた。現在は「タキイ友の会」の会員に年2回、秋と初夏に通販カタログ「花と野菜ガイド」を送付している。友の会の会員約10万人のほか、「花と野菜ガイド」は新聞広告からの無料請求や書店販売で園芸ファンの手に渡っている。
 友の会の会員は趣味で園芸や農業を楽しむ人が多い。このため、「迷ったらコレ」「初心者向け」「作りやすい」などのマークを付けて、育てやすい野菜を分かりやすく表現している。
 野菜は1500種、花は500種のオリジナル品種を開発してきた。カタログに掲載している花や野菜もほとんどがタキイ種苗のオリジナル品種だ。
 「育ててみたい」と思うようなおいしそうな野菜の写真へのこだわりは強い。3人のカメラマンがその品種を生かす撮り方を心掛けて撮影している。メディアから写真の貸し出しを依頼されるほど、クオリティーが高い。
 半年間利用できるカタログのため、紹介する品種の種を十分に確保しておかなければならない。近年は異常気象になることが多いが、長年のノウハウと技術力で安定的に会員に種を販売している。
 種の数に限りがある花などは、会員に毎月送付している会報誌「はなとやさい」で紹介している。
 園芸や農業は最初の成功体験が大事だ。最初にうまく栽培できればまた作りたくなり、うまくできなければ次の栽培をためらってしまう。平日に会員が育て方の相談ができるよう、電話窓口を設置しているのはそのためだ。
 通販を利用する人のうち、6~7割が50~70代。週末に園芸を行った会員が疑問に思ったことをすぐ問い合わせているため、月曜日の午前9時に電話相談窓口を開けたときのコール数が一番のピークになるという。
 会員から新しい品種開発の要望も寄せられている。新種の開発には約10年を要するが、最近はDNAレベルで研究して、病気に強くおいしさも追求する品種が比較的短い期間で開発できるようになっている。
 一方で、昔からある品種を毎年リピート購入して栽培するファンも多い。カタログは新しい品種と長年のリピーターを持つ品種が共存し、園芸ファンを楽しませている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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