【千原弁護士の法律Q&A】▼193▲ 不招請勧誘規制報道受け、「会員制」を検討しているが…。

千葉弁護士

質問〉

 当社は、訪問販売や電話勧誘販売で、化粧品を販売しています。特定商取引法の改正について、不招請勧誘を禁止しようという議論があることを知り、当社の将来について不安を覚えています。仮にそのような法律が制定された場合、新規営業は、かなり困難になると考えられます。そこで、現在、かなりの数に上るリピーターを、「会員」化し、「会員制」を敷くことによって販売を可能にすることを検討していますが、いかがでしょうか。また、会員になっていただくに当たっては、その方々に対して引き続き、訪問販売や電話勧誘販売が続けられるよう、特別な条項を設けたり、一筆を取っておいたりすることを検討しています。効果的な文章・方法などあるでしょうか。(化粧品訪販・電話勧誘販売会社社長)

〈回答〉 私見だが「会員制」導入は効果的

 訪問販売や電話勧誘販売への不招請勧誘の禁止については、本当に導入されてしまうと、影響は深刻だと思われます。現在、普通に営業をしている多くの会社も、営業ができなくなるでしょう。
 適法に営業している会社が、法律の改正によって営業ができなくなるなど論外のことであり、絶対に阻止すべきことだと思います。
 ただ、まだ法律が成立するかどうかも分かりませんし、またその内容などについても、全く不透明ですので、先行きや、対策などについては何とも言えないのが現状です。
 ですから、以下は、あくまで原状の法律(特定商取引法)への対策も踏まえての「私見」として聞いていただければと思います。
 1、会員制を導入されることは、対策としては効果的だと思います。
 会員への追加注文、販売を行うことは、一般の飛び込みやテレアポによる訪問販売などとは、一線を画すことにはなると思います。ただし、実際に、悪い形での法改正になれば、それでも事業継続が難しくなる可能性はあります。
 2、会員になっていただく際の条項等としては、例えば、以下のようなものが考えられます。
 (1)まず、「過量販売」などに配慮すべく、会員規約の中で、追加商品の案内を貴社が行う趣旨を明確にすることをご検討下さい。
 たとえば(会員には)「ご購入をいただいた商品のご使用が終わった時期に、追加の商品のご用命のために、ご訪問し、あるいは、お電話でご連絡をさせていただいています」「新商品の情報について、ご訪問もしくはお電話での案内をさせていただきます」などのように具体的に記載することが重要だと思います。
 (2)会員となるお客さまから勧誘の日時などについて具体的に指定してもらう方法もあると思います。
 「当社からの訪問・お電話について、希望される曜日、時間帯をご指定ください」などと、指定してもらうのです。
 こうした取り組みにより、お客さまに「勧誘を受ける意思」があるかを積極的に確認することができます。また、「迷惑勧誘」との指摘を避ける効果も期待できます。
 (3)お客さまが訪問販売などを断る方法を明確に提供することも大切です。
 会員からの退会方法を明記することや、「当社からの訪問・電話によるご案内を、これ以上希望されない場合は、下記にご連絡ください。ご連絡をいただいた場合は、すぐに一切の連絡を停止します」といった条項を設けることをご検討いただければと思います。
 以上はあくまで一例ですが、現状、貴社ができることは、現在の特商法の枠内で、違反の指摘を受けることのないよう、お客さまの立場を考えた「会員制」やそれに伴う規約、システムを整備されることだと思います。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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