【千原弁護士の法律Q&A】▼192▲ 国センのSF商法報道受け、その対処方法は?

千葉弁護士

質問〉

 当社は、ホテル等を会場にして、呉服、小物類の展示販売を行っています。集客には、ダイレクトメール(DM)を使っています。私は現在、コンプライアンスの責任者を務めています。特定商取引法上は「訪問販売」に分類されることを前提として、お客さまへのDMには、販売目的をしっかり書くようにしています。もちろん法定書面もお渡ししていますし、クーリング・オフにもきちんと応じています。また、無理な販売をしないよう、日頃から販売員にもよく注意をしています。ただ、今回、国民生活センターからSF商法の被害に関する発表があり、当社の社長がとても心配しています。当社のような展示会販売会社は、どのように対応すればよいでしょうか。具体的な対応方法があれば教えてください。(展示会販売会社コンプライアンス責任者)

〈回答〉 販売金額のチェックなどが必要

 国民生活センターは今年5月21日に「高齢者が支払えなくなるまで次々に販売するSF商法~支払い金額の平均は170万円にも!」と題した発表を行いました。日経新聞の朝刊をはじめとする一般紙、テレビ局等で、広く報道されましたから、ご存知の方も多いと思います。宣伝講習販売、展示会販売などの業界は、これからさらなる注意が必要だと、私も感じました。近いうちに「一罰百戒」的な行政処分が行われる可能性がありますし、そのターゲットは大手かもしれません。貴社の社長のご心配は正しいと思います。
 私が、貴社のような業態の会社について、特に対応しておくべきと考えるのは、次の3点です。
 (1)個々の購入者の販売金額のチェック
 何と言っても重要なのは、個々のお客さまへの販売金額を、経営サイドできちんと把握しておくことだと思います。
 今回の発表で問題視されたのは、お客さまの購入の平均金額が170万円と高いことでした。あまりに金額が高い場合は、イ=お客様の判断能力に問題がある、あるいは、ロ=販売員が無理をしている、ハ=さらにはその両方、などの問題がバックにある可能性が高いと思います。
 なお、1回の販売金額だけではなく、1~5年のトータル販売金額のような形でチェックをしていただきたいと思います。
 もちろん問題があれば、販売停止、制限などを検討するべきでしょう。
 (2)販売会場でのモニタリング
 経営、法務サイドでは、十分に注意しているつもりでも、実際の販売会場では無理な販売が行われているという例がとても多いと思います。
 私としては、貴殿のような立場の方が、定期的に販売会場に足を運び、モニタリングすることをお勧めしています。可能であれば、「お客さまを装った調査員」がモニタリングをすることも検討した方がよいと思います。消費者庁など行政が、そのような調査を行う例も実際にあるのですから。
 (3)問題のある販売員のチェック・指導
 お客さまに対して、問題性のある販売がなかったかどうか、アンケートを実施することをお薦めします。さらに、お客様相談室への入電や、センター介入案件を含めて、無理な販売をする担当者を特定し、指導・処分をすることも大事だと思います。
 消費者被害案件は、特定の担当者に集中しているケースが多いからです。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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