【千原弁護士の法律Q&A】▼188▲ 最近の行政処分の傾向は?

千葉弁護士

〈質問〉

 当社は、太陽光やオール電化、内装リフォームについての訪問販売を、全国の事業所を拠点に展開しています。コンプライアンスには十分に気を付けており、専門の担当者も置いています。しかし、当社は2年前に東京都から行政指導を受けたことがありますので、行政処分などにならないかなどと心配が募ります。クレームが出ないようにとは心掛けていますが、どうしてもセンターへのクレームは出てしまいます。大雑把な質問で恐縮ですが、最近の行政処分の傾向などを教えてもらえますか。(太陽光・オール電化・リフォーム訪販会社社長)

〈回答〉 「大規模事業者」は指導先行が通例

 消費者庁や東京都などのホームページを見ていただければ分かると思いますが、訪問販売・電話勧誘販売類型への業務停止処分は、現在も、とても活発に行われています。貴社が心配されるのも無理はないですね。ただ、最近の業務停止処分例を見ていると、「小規模な事業者」に対するものがとても多いのが、一つの特徴だと思います。
 貴社のように大規模に事業を行い、コンプライアンスに気を配っている事業者には、貴社のケースと同じく、まずは社名の公表を伴わない「行政指導」を行って様子をみるケースが一般的なようです。その後、極端な問題が起きなければ、業務停止にはならずに、そのまま問題なく過ぎていくという事例も少なくありません。
 私の顧問先の大規模な訪問販売会社やNB会社の中には、ここ4~5年の間に行政指導を受けた会社がとても多いですが、その後に業務停止処分を受けたところはありません。
 そういう意味では、貴社も、コンプライアンスに気を遣い、またクレーム件数などに極端な増加がないかぎり、過度な心配は不要といえるかもしれません。
 一方、「小規模な事業者」の場合は状況が異なります。一発アウト、つまり指導などは先行せずに、いきなり業務停止処分をされるケースが少なくありません。また、最近の事例を見ていると、「以前に業務停止を受けた会社の関係する別会社」が処分を受けるケースが多いです。会社の役員構成、商品の内容、契約書面に書かれた担当者の名前、事務所所在地などの情報から、以前の業務停止歴のある会社との関係性が出る場合は、再度、同じようなクレームが入れば、すぐに処分がなされるということになるでしょう。
 今年3月25日に消費者庁が公表した内装工事業者(ハマホーム)への業務停止命令では、対象会社自体の社名公表だけではなく、「組織的な関係がある」として(1)同じ事務所で同じ営業を行っていた別会社(2)業務を請け負っていて、従業員、役員などに共通性がある別会社(3)同じ事務所で営業員が共通している別会社─の計3社の社名、代表者名も合わせて公表されていました。
 実際に業務停止処分が行われる場合は、先行して「がさ入れ」的に、事業所が調査されるのが通例です。これは事前の予告なく突然、朝から行政の関係者が複数やってきて、資料の提出の要求や関係者からの事情聴取を行っていきます。
 私の経験ですと、これが行われて、業務停止処分にならなかった例はありません。そして、関係会社や関係者についても、この際に調査をしていきます。だからこそ、上記例のように、関係する別会社の情報を公表することも可能になるわけです。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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