【食品宅配】 【インタビュー】〈食品宅配トップに聞く〉オーシャンシステム 樋口勝人新社長/「総合宅配業」を目指す

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樋口勝人社長

樋口勝人社長

食品スーパーやヨシケイの食材宅配事業を手掛ける、オーシャンシステムでは6月26日に社長に就任した樋口勝人氏の陣頭指揮のもと、事業のテコ入れを図っていく。食品スーパーや宅配、総菜製造など事業ごとにバラバラだった顧客情報を集約し、営業に活用。現在、食品を中心に宅配を行っているが、取扱商品を家電や雑貨に広げ、総合宅配業を目指す。樋口社長に今後の事業計画について聞いた。

 ─樋口社長の経歴について聞きたい。
 私は、高校卒業後、調理師免許を取得し、都内で働いていた。私は第2次ベビーブーム世代で、店を開けば客が来てくれる良い時代も経験した。その後は、時代の変化を経て、店舗事業でさまざまな勉強をしてきた。
 オーシャンシステムに入社したのは99年。社長交代は若返りが狙いだった。前社長(樋口勤会長)の父と私の時代では環境が大きく変わってきた。企業は、人口が減少してきた状況に合うような経営をしていかなければならない。これまでも経営陣の一人として、さまざまな提言を行ってきたが、世代のギャップもあり理解してもらえないという状況もあった。世代交代を行うことで、さまざまな改革に着手したいと考えている。
 ─食品宅配市場は厳しい状況にある。
 ヨシケイの食材宅配事業は4期連続で減収となっている。
 連続減収の理由は、世帯の家族構成が4人から2人に変化していることが一番の理由だ。この状況ではこの先も減収が続くのではないか。自社のブランドだけを追っているだけでは状況は変わらないと思う。時代の変化には逆らえないので、新たな要素を加えることで打開していこうと考えている。
 ─さまざまな事業の顧客情報を一元化する構想とは。
 当社が展開する食品スーパーや宅配、総菜製造など事業ごとにバラバラだった顧客情報を集約し、営業に活用する。現在、食品を中心に宅配を行っているが、取扱商品を家電や雑貨に広げ、総合宅配業を目指したい。
 当社は食品スーパーのチャレンジャー事業部、業務スーパー事業部、ランチサービス事業部、デリカフーズ事業部、宅配事業部─など計8事業で構成している。各事業の顧客に対して、これまで他事業のサービスの提案に積極的ではなかった。顧客情報を一元化することで相乗効果を生み出したい。
 ─すでに着手している新事業はあるか。
 家電や雑貨の問屋、メーカーと提携し、取扱品目を増やしている。4月から生活雑貨問屋のあらた(本社東京都)やアイリスオーヤマ(本社宮城県)から商品を調達している。主に個人宅へチラシを配布している。
 地方で事業を行う当社と志が同じような企業の経営者と組みたいと考えている。
 受注後、オーシャンシステムの配送員が自宅まで商品を届ける仕組みだ。すでに本社のある新潟県内で試験的にアイリスオーヤマの商品チラシを顧客宅へ配布し、受注を開始している。 シニアなど従来の顧客層にはないターゲットにアプローチしていきたい。事業ごとにお客さまを分断するのではなく、家庭にまつわるもの全てを自宅まで届けることで差別化を図りたい。

(続きは「日本流通産業新聞」7月2日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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