【一般社団法人 PODi 亀井雅彦 代表理事】カタログ活用を提唱する/紙にレコメンド機能を

亀井雅彦代表理事

 デジタル印刷を推進する一般社団法人PODi(事務局東京都、亀井雅彦代表理事)は7月5日、一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会(JRMA、事務局東京都、小村富士夫代表理事)と共同でセミナーを開催する。米国のEC事業者が紙のカタログを活用する事例を紹介。カタログの効果的な利用を提唱する。ネット通販が全盛となる中、なぜカタログが有効なのか。米国の事情やセミナーの概要をPODiの亀井代表理事に聞いた。


■注文金額が高いカタログ閲覧者

 ーーー一般社団法人PODiの活動内容は。

 「20年前に米国でできた団体で、印刷会社に対してデジタル印刷を推進しています。世界中で約800社がメンバーになっています。国内では4年前に設立しており、会員数は約50社。会員のほとんどは印刷会社と印刷会社に資材を供給するメーカーで構成しています。現在、会員に対する情報発信を行っており、ニュースやコメンタリーのほか、DMAという米国のマーケティング団体のコンテンツを翻訳して発信しています」

 ーーーDMAは以前のDMAとだいぶ内容が変わったと聞いています。

 「もともとDMAはダイレクトメール・アソシエーションだったのが、同じDMでもダイレクト・マーケティングになり、昨年からデータ&マーケティングとなっています。データを起点とするマーケティング情報を提供しており、徐々に紙の比重が減っています」

 ーーー通販業界も紙に対する需要は縮小しています。米国も同じような状況でしょうか。

 「米国でもDMの通数は減少しているし、カタログも減りました。カタログの通数は07年がピークで、そこから40%減少しましたが、13年に底を打ちました。理由はネット通販企業がカタログを利用し始めたからです」

 ーーーなぜですか。

 「ネット通販ですからウェブでマーケティングを行っており、さまざまな効果測定が行えるようになりました。それによると、紙のカタログを見ながら注文しているお客さまの方が、ネットしか見ないお客さまよりも圧倒的に注文金額が大きいことが分かりました。ネットしか見ない方は検索した物しか購入していません。紙のカタログを見ている方は、いろんな商品に購買意欲をそそられて購入している。紙の一覧性がカタログによって強調され、それによって客単価が増加しているのです。さらにカタログをお客さまの属性に合わせてセグメント化し、ウェブマーケティングと連動させています。それがネット通販企業のカタログ利用につながっています」

■米は売上減少でカタログに回帰

 ーーーカタログは14年以降、上昇傾向になっているのですか。

 「DMの通数は減少していますが、市場規模は増えています。それはカタログが増えているからです。はがきや封書より、情報量が多いカタログを、ターゲットを絞ったお客さまに届ける傾向があると、DMAは分析しています」

 ーーー国内の通販市場と比較すると意外な感じがします。

 「日本でも米国に近いことが起こると思います。6月から、はがきが値上がりしました。日本独自の圧着はがきより大きいもの、つまり封書やカタログといった、たくさん情報が送れるものにシフトすると思います。それを確率の高いお客さまに絞ってお届けする。結果として通数が減少するという傾向になるのではないでしょうか」

 ーーー情報量は認めるとしても、消費者がカタログを見るでしょうか。

 「カタログの質が変わっています。従来の商品説明ではなく、商品が使われているシーンやライフスタイルを格好良く表現する、言ってみれば高級な雑誌のようになりつつあります。マガジンとの造語で『マガログ』と呼ばれています。モニターでは表現できない豪華さ、格好良さ、これが欲しいと思わせる力があるカタログが伸びているのです。写真品質、紙質、製本にもこだわった高級感のあるカタログです」

 ーーー通販事業者の多くがカタログで採算分岐点を超えるのは難しいとして縮小や中止しています。制作にこだわると、さらに採算が悪化するのではないでしょうか。
(続きは、「日本流通産業新聞」6月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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