【ギフト用オーダーメード商品】 個別製作で差別化へ／世界に一つの価値を演出

　顧客の注文に応じて個別に製作した商品やサービスを取り扱う通販事業者が増えている。写真プリントのクロスワンは、写真をもとに製作するフィギュアの仕立券を販売している。恋人向けギフトを扱うカラフルマーケティングは、フェルト素材を使ったメッセージカードの需要が増加している。誕生日ギフト商品の通販サイトを運営するアトレは、自社開発したスマートフォン（スマホ）のメッセージアプリを配信。ギフトとあわせネット上で独自のバースデーカードを送付する。ギフトを扱う通販事業者は、オーダーメード商品やサービスを充実することで、世界に一つしかない価値を演出。新たな需要を開拓している。

写真１枚から人形製作

　クロスワンは、結婚祝い向けにフィギュアやクリスタルの仕立券を販売している。商品は３Ｄプリンターやレーザープリンターを使って製作する。顔写真１枚から製作できるのが強みという。
　過去に撮影した写真も利用できるため、シニアやシルバー層向けに、若いころの写真を使って銀婚式や金婚式祝いに使えるフィギュアの提案も検討している。
　３Ｄプリンターを利用したギフト製作はクロスワンのほか、３Ｄスキャンの機器を導入した写真プリント、写真スタジオを運営する企業で普及しつつあるようだ。
　小貫写真館（本社茨城県、小貫久史社長）やフレックス（本社大阪府、藤井善博社長）も、ネット通販などを利用してギフト用フィギュアの仕立券を販売している。
　各社が取り扱うギフト商品は、フィギュアの人体比率や個別に造形する範囲などで差別化を図っているようだ。
　クロスワンとフレックスは、顔の部分を独自に造形し、体のデザインは決まったものから選択する。小貫写真館は運営する写真スタジオへ依頼者に来てもらい、全身のスキャンデータを取ってから製作する。
　カラフルマーケティングは、ギフト用にフェルト製のメッセージカードを製作している。ギフトと同梱して贈るもので、手触りや耐久性から支持を集めているという。


カタログを自由に編集

　商品や付属物のほか、ギフトに関連したサービスを充実して差別化を図っている通販事業者もある。
　ギフトカタログの制作・販売を手掛けるリンベルは、ネット上でオリジナルのギフトカタログを制作するサービスを行っている。掲載する商品や文章、写真を自由に編集できるのが特徴だ。
　カタログは１冊から製作が可能。結婚祝いのお返し用に、相手の年齢や付き合い関係に合わせ、掲載内容を個別に変更するといった要望にも対応する。
　サイト構築を手掛けるニコプロダクション（本社東京都、小西薫社長）も、ネットを使ったギフトカタログ製作サービスを企画している。
　８月から、ネット上で商品を選択し、独自のギフトカタログを制作できるサービス「ＯＫＵＲＩＣＡＴＡ（オクリカタ）」の展開を検討中だ。アトレは通販サイト内で、複数人による誕生日祝いの企画が可能なチャット機能を備えている。
　ソーシャルメディアやメールを通じて、誕生日祝い用のメッセージを送付できるスマホ用アプリも展開。誕生日当日、ギフト商品とともにメッセージを一斉に送信するなど、誕生日を祝う企画に役立つサービスを展開して顧客獲得を図っている。


新規客向けに手間省く

　独自のギフトやメッセージカードを製作する場合、ギフトを贈る側と受け取る側の双方が、製作に必要な情報入力の手間を省けるかが重要になるという。
　フィギュアの製作時に、全角度から体を写した写真が必要といった手間がかかると、初めてサイトを訪れた人からの利用が見込めないからだ。
　クロスワンは、正面から写した顔写真１枚でフィギュアやクリスタルの製作を受け付けている。
　カラフルマーケティングは、メッセージカードに記載する文章のひな型をサイトに掲載。誕生日や出産記念といったギフトを贈る状況に合わせ、２０種類の文例を用意している。
　ニコプロダクションは２月、ギフトカタログ向け商品の検索サービスを始めた。商品卸サイトも含め、価格やジャンルといった条件に合致したギフト向け商品を「オクリカタ」のサイト上で探すことを可能にするという。

■掲載企業
・クロスワン
・カラフルマーケティング
・アトレ
・リンベル

(続きは日本流通産業新聞 2月26日号で)