〈不招請勧誘規制〉 直販協が消費者委に反対意見/PIO―NET相談の内容精査の必要性説く

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 現在検討が進められている特定商取引法の見直しの「不招請勧誘規制」に関する議論に対し、業界団体が「待った」を掛けた。(一社)全国直販流通協会(直販協、事務局東京都、亀岡一郎理事長)は6月9日、消費者委員会・特定商取引法専門調査会の後藤巻則座長に宛て、意見書を提出。規制強化に向かう議論を進めるにあたって、資料などとして提示されるPIO―NETに寄せられた相談について「正確な分析が必要である」などと指摘し、「不招請勧誘規制」の強化に反対する意見を表明した。

 直販協が消費者委に提出した意見書では、「『不招請勧誘規制』について、一部の委員から訪販・電話勧誘販売は実質全面禁止すべき、との極端な意見が出されておりますが、このような偏った規制は健全な事業者の正当な営業を妨げ、営業の自由及び生活権を脅かすものとして、当協会としては断固として反対します」などと不招請勧誘規制に反対する意向を明確に示した。その上で、消費者委に対し「冷静かつ慎重な分析とマクロ的な見地から、公平かつ偏りのない議論をされますよう切望いたします」と呼びかけている。
 直販協では「PIO―NETに寄せられた相談を議論の根拠とするには『2段階の精査が必要』」と説く。一つは、苦情など特商法違反とは関連しない相談を取り除くこと。もう一つは、特商法の適用除外業者と明らかな詐欺・犯罪行為に関する相談を取り除くことだ。意見書では、PIO―NETに寄せられた相談内容には「事業者側の責に帰すべき違法行為や問題性がないものも含まれている」と指摘する。
 直販協の消費者向けの電話相談窓口に寄せられた相談は2169件。その内、コンプライアンス上適正ではないとみられる「問題性がある可能性のある相談」は200件で全体の約1割だった。「当協会への相談件数から推し量るに、PIO―NETに寄せられた相談件数に占める『特商法違反が疑われる内容』は大きな割合を占めていないのではないか」(青木淳事業部長)と分析している。
 さらに意見書では、PIO―NETに寄せられている訪問販売や電話勧誘販売に関する相談には、「特商法の適用除外対象」や「明らかな詐欺・犯罪行為」が含まれていることに言及。このまま議論を進め、規制強化をしても、(1)特商法の適用除外業者(2)詐欺のような犯罪行為者(3)そもそも法律を守る意志のない悪徳業者─には効力が及ばないと指摘している。「正当かつ健全な訪販・電話勧誘事業が潰れていく」と懸念を示している。
 直販協では、「共闘できる他の業界団体との連携も視野にある」(同)などとしており、規制強化に断固反対していく姿勢だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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