特商法専門調査会/事業者から意見聴取/不招請勧誘禁止に反対続出

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特定商取引法(特商法)の見直しを検討している消費者委員会・特商法専門調査会は6月10日、飛び込みの訪問販売や電話勧誘販売を禁止する「不招請勧誘禁止規定」を特商法に導入するべきか検討するため、通販・訪販の事業者や業界団体へのヒヤリングを行った。出席者からは、不招請勧誘が禁止されれば健全な事業活動が阻害されるとして反対意見が続出。一方、調査会の委員を務める消費者団体や弁護士らは不招請勧誘禁止規定の必要性を主張したため議論は平行線をたどった。調査会は後日、不招請勧誘についてあらためて議論する方針。
 ヒヤリングの参考人として参加した業界団体は日本新聞協会、日本新聞販売協会、太陽光発電協会、自動車販売連合会、日本コールセンター協会の5団体。事業者はダスキン、高島屋、松永牛乳の3社が出席した。
 事業者団体や企業からは、訪問販売や電話勧誘販売に不招請勧誘禁止規定が導入されれば、多くの事業が成り立たなくなり雇用の消失や経済への悪影響が起こるとして反対した。
 太陽光発電協会は住宅用太陽光発電を普及させるには訪問販売が必要であることを説明。販売に関するガイドラインを設けるなど、自主的に消費者保護に取り組んでいることを説明した。
 複数の委員から消費者トラブルの多さを指摘された新聞協会と新聞販売協会は、販売店への教育を通じて業界全体を改革しているとして理解を求めた。
 ダスキンは、訪問販売が女性の雇用創出に貢献していることなどを説明。販売員が商品の良さを理解し、口コミで普及させていく訪問販売は正当な行為であることも訴えた。
 福島県で牛乳の宅配を行っている松永牛乳は、中小事業者の多くは訪問販売で顧客を開拓していることから、訪問販売が禁止されれば事業が成り立たなくなる実情を訴えた。
 通販を行っている高島屋は、顧客への電話勧誘販売はサービス向上や消費行動の下支えなどの役割があると説明。顧客のニーズを把握し、信頼関係を構築するために必要な手段であるとした。
 ヒヤリング後、不招請勧誘禁を推進している委員からは、過去に取引があった顧客への訪問や電話まで禁止するべきではないといった意見も一部で挙がった。ただ、新規顧客への訪問や電話に対する禁止論は根強く、議論はまとまらなかった。
 調査会は当初、6月10日に「不招請勧誘規制」に関する議論を終える方針だったが、結論が得られなかったことから後藤巻則座長が議論を継続する方針を示して閉会した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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