訪販業界各社/人材確保に社内整備進む/保育所支援、社員登用で採用支援

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

マンパワーで売り上げが左右されやすい訪問販売業界で、販売員の働きやすさや社内環境の整備に乗り出す企業が増えてきた。訪販大手のヤクルト本社では、販売員(ヤクルトレディ、以下YL)の確保のために、テレビCMやイベントを通じて各販売会社が運営する保育所を前面に押し出した人材確保を強化。食品宅配のシュガーレディ本社(本社東京都)も、16年度(17年3月期)をめどに、優秀な販売員を正社員に引き上げることで人材確保を図る。宣伝講習販売のシールズ(本社東京都)は今年5月から、出産などで退職した店長を、パートで再雇用する新制度を導入した。訪販各社の人材確保策が動き始めた。

■新卒・中途採用
 ヤクルト本社の15年3月末のYL数は半年前に比べ890人減少し、09年に約4万3000人いたYLは5年連続で減少が続く=別表。
 15年3月期のYLによる乳製品の売り上げ本数は前期比2・0%減となった。「YL1人当たりの販売本数は年々増えている。YLが減少すると減収になるという単純な理由ではない」(中野健宅配営業部長)と話す。
 YLの採用は、各販売会社が主体となって行う。従来は、保育所での採用イベントを開催したり、商品の宅配時に、直接リクルートするのが中心だった。昨年からは、20~30代の若い母親向けのイベントに参加し、YLの仕事の認知を高めている。特にイベントでPRするのは、1200カ所にある企業内保育所の存在だ。約30年から各地域の販売会社が独自に運営しており、この経営資源を前面に押し出す。
 本社もメディアを活用した後方支援を行う。YLの仕事を多くの人に認知してもらう活動の一環として、タレントで俳優の大泉洋さんを起用したテレビCMを放送。シリーズ形式で仕事のやりがいや魅力、保育所による働きやすさ、社会貢献活動などを紹介する内容にした。
 14年秋には、YLの仕事内容を「マンガ」にまとめた冊子を制作。採用活動の際に配布している。販売会社では、「YLを採用する際のバックアップにつながっている」(中野氏)という声があるという。

(続きは本紙 6月11日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ