消費者委員会/通販広告、条件付き規制か/提示3案について議論

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消費者委員会は4月10日に第8回消費者契約法専門調査会を開催し、ネット広告などが勧誘にあたるかどうかの判断について事務局案を提示した。調査会では、現行の消費者契約法の要件を維持したうえで、(1)消費者の意思形成に直接働きかけるもの(2)広告と購入の意思表示について因果関係があること─を条件に広告を規制する案を議論していく方針を固めた。
 事務局は、通販やネット通販に関する消費者相談が増加傾向にあることを踏まえて説明した。
 広告を勧誘とみなすことについては、「ネット通販やカタログ通販、テレビ通販で買い物をした場合に、サイトに記載された情報を踏まえて申し込むことが通常」と判断。通販のすべてにおいて「消費者の意思形成に直接的に働きかけるものと言い得る」と結論づけた。
 カタログやサイトなどの広告と、消費者の意思表示との因果関係については「購入履歴やサイトへのアクセス履歴などから判断が可能」とした。
 また、テレビショッピングについては「番組内で表示された番号や連絡先にアクセスするのが通常」とし、「消費者への意思形成に働きかけている」と指摘した。
 ネットなどで販売する商品の容器や包装の表示主体がメーカーである場合、不実の表示があれば、民法の規定を適用することで、取り消しが可能にするという案も提示した。
 事務局は解釈ごとに対応する案や広告を勧誘に盛り込む案など3案を提示している=別表。
 経団連の阿部泰久常務理事は「(広告の表示について)景表法の改正があったばかりで、運用状況を見極めて判断するべき」と意見。その上で、「甲案をもっとわかりやすい形で練り直すことができればいい」と話した。
 甲案の修正を支持したヤフーの古閑由佳委員は、「情報を収集する手段が多様化しており、購入した企業だけで因果関係は判断できない。メーカーの表示について、販売会社がどこまで帰責性があるかという点に配慮してほしい」と要望した。
 こうした議論を受け、消費者委員会の河上正二委員長は、修正を施せば合意ができるという認識を示した。
 このほか調査会では、断定的判断の提供や不利益事実の不告知、重要事項について議論を行った。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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