【押し寄せる不招請勧誘規制の波】 日本弁護士連合会「特商法に不招請勧誘規制を」/海外事例学ぶシンポ開催、導入に拍車

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 特定商取引法の改正に向け、具体的な検討作業が始まろうとしている。今回の改正作業では、訪問販売や電話勧誘販売への不招請勧誘規制の導入の是非が一つの焦点となりそうだ。そんな中、日本弁護士連合会(日弁連)は2月7日、シンポジウム「ストップ!悪質商法・迷惑勧誘~ドゥ・ノット・コール ドゥ・ノット・ノック制度の可能性~」を開催、諸外国における不招請勧誘規制の導入状況などについて検討を行った。消費者問題に対して一定の発言力を持つ日弁連が、不招請勧誘規制に関するシンポジウムを開催したことにより、同規制の導入に向けた動きにさらに拍車がかかりそうだ。

電話勧誘規制は先進国も多数導入

 不招請勧誘規制とは、消費者の同意を得ることなく行われる勧誘行為に対する規制のことを指す。不招請勧誘規制は主に、(1)消費者からの要請がない限り勧誘を原則禁止する「オプトイン規制」(2)消費者が拒否の意思を表明した場合にのみ禁止する、「オプトアウト規制」─の2パターンに分類される。
 米国をはじめとしたいくつかの国々では、あらかじめ消費者が登録しておいた電話番号に対する電話勧誘販売を禁止する「ドゥ・ノット・コール(DNC)」規制をすでに実施している。訪問販売について、ステッカーを貼った家や、登録した消費者宅に対する訪問勧誘を禁止する「ドゥ・ノット・ノック(DNK)」規制を行っている国もある。これらはいずれも、オプトアウト型の不招請勧誘規制の一種といえるだろう。
 現行の特商法では、訪問販売、電話勧誘販売について、一度断られた消費者に対して一定期間同一商品の勧誘を禁止する「再勧誘規制」が導入されている。日弁連では、特商法改正に合わせてさらに強力な不招請勧誘規制を特商法に導入することを求めている。


ドイツなど3カ国はオプトイン規制導入

 今回のシンポジウムでは諸外国の不招請勧誘規制の導入事例が報告された=別表。DNCは米国やカナダ、EU加盟国、韓国など多くの国で導入されているという。とくにEU各国においては、EU指令により一般的な電話勧誘に対して、「オプトイン型もしくはオプトアウト型の不招請勧誘規制を導入すること」が各国の裁量に委ねられている。ドイツ、オーストリア、デンマークでは、要請がない限り電話勧誘を原則禁止するオプトイン規制が導入されている。
 先進国をはじめとした多くの国でDNC制度が導入れている実態が明らかとなった。特商法改正に向けた議論において、制度の実現性の判断などに影響を与える可能性がある。
 DNKについても、一部の国で導入事例があるという。オーストラリアでは拒絶意思を示す消費者宅への訪問が競争消費者法違反に当たるとして、罰金が科されたケースが存在する。米国では、一部の州がステッカーや登録によって拒絶の意思を表示した消費者宅への訪問勧誘規制を導入している。ルクセンブルクはステッカー宅への営業に罰金制度を設けており、違反には契約を無効とするなど、民事規定を用意している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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