ディナーサービス、食品スーパーが買収/FC宅配事業は継続

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本田圭社長

本田圭社長

 東海地区を中心に食品スーパー「フードマム」を展開する、タカラ・エムシー(本社静岡県、上野拓社長)は8月31日、夕食食材セットや総菜などを宅配するディナーサービス・コーポレーション(本社静岡県、本田圭社長)を買収した。ディナーサービスは、全国展開するフランチャイズ(FC)事業は継続するものの、本社直営店による自社便の食品宅配事業からは撤退した。買収額は明らかにしていないが数億円とみられる。本田社長は、執行役員として同社に残る。
 ディナーサービスは1976年に「静岡ディナーサービス」として創業。夕食食材セットメニュー「ディナーズ」や総菜・弁当「ぴあらいぶ」を展開してきた。本社直営店のほか、全国に30社のFCを抱えている。16年6月期におけるFC合計売上高は280億円だった。
 ここ数年は、直営店の人材不足に加え、顧客の高齢化に伴い減収傾向に歯止めがかかっていなかった。巻き返しを図るために、シニア向けの施設に提案を強化したり、高齢者向けの宅配弁当に力を入れてきた。
 自社配送による人件費とFC支援に負荷がかかり、事業継続のために協業できる企業を模索。17年4月からコンサルティング会社からの譲渡先の紹介や関心のある企業向けの工場見学会を実施してきた。8月中旬に譲渡先がタカラ・エムシーに決まり、8月31日付で自社配送便から撤退している。約60人の配送スタッフには8月15日に解雇通知したという。
 タカラ・エムシーは、ディナーサービスが持つHACCP(ハサップ)の認証を取得する工場を活用し、品揃えの拡充や独自商品の開発を進める。また、店舗で高齢者向け弁当の販売なども視野に入れる。ディナーサービスの完全子会社の現代包装(本社静岡県)で、パッケージなども内製化する考えだ。高齢者向けの宅配事業も検討する。
 食品宅配業界では、トドクックやタイヘイといった老舗企業が自社便配送から相次いで撤退。ECやネットスーパーの台頭に伴い、大手企業による買収も進み、業界再編が進んでいる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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