宅配大手/日本郵便も値上げを発表/3社の料金施策出そろう

 日本郵便は9月5日、18年3月付でゆうパックの基本運賃を平均12%値上げすると発表した。同日開かれた会見で同社は、通販会社などの大口顧客との値上げの交渉についても、17年に入ってから加速していることを明らかにした。宅配便大手のヤマト運輸、佐川急便もすでに、基本運賃の値上げを発表するとともに、大口顧客との値上げ交渉を行っていることを明らかにしている。宅配便大手3社が、配送料金の値上げで足踏みをそろえた形だ。

■料金改定とともに新サービス

 日本郵便が発表した、ゆうパックの基本運賃の改定後の料金では、例えば60/80サイズの荷物を沖縄以外に送った場合、110円の値上げとなる。10個以上発送時の数量割引も廃止される。
 同社は値上げに伴い導入する、サービス改善のための新施策も併せて発表。(1)基本運賃より180円分割安になる「ウェブ決済型ゆうパック」の導入(2)「19時~20時」を新たに加える形での、希望配送時間帯の拡充ーーーなどを、原則として18年3月から開始するとした。
 同社の横山邦男社長は、適正価格の設定により「企業として持続的に安定して成長できる体制を構築する」と話した。
 宅配大手3社の値上げが出そろったことになる=詳細は別表。
 他の2社が60/80サイズの小型荷物の値上げに踏み切るのに対し、佐川急便は、同サイズの料金を据え置く。一方で、170サイズの大型荷物については、日本郵便を大きく上回る550円の値上げを行う考えだ。佐川急便では、「一般家庭に配送する荷物が近年大型化していることを踏まえて、100サイズ以上の荷物の値上げを行うことにした」(SGホールディングス・経営企画部)としている。
 ただ、値上げ額を数字だけで単純比較してもあまり意味はない。各社とも値上げと同時に特別なサービスを導入することを発表しているからだ。ヤマト運輸では10月1日の運賃の値上げと同時に、店頭端末で発行したデジタル送り状を利用すると50円割引となるサービスを開始する。日本郵便でも、ウェブ上で事前決済を行うことにより基本運賃から180円を割り引くサービスの導入を発表している。

■各社で大口顧客との交渉が進む

 大口顧客の配送料の扱いも焦点の一つ。日本郵便の横山社長は、通販会社などの大口顧客への値上げについて、「17年に入ってから各社との交渉は加速している。私としては、12%程度の値上げになる企業が多い印象だ」(同)としている。
 ヤマト運輸については、一部で大口顧客向けに「15%以上の値上げを行う」と報道されたが、本紙の取材によると、30%から2倍の値上げを提示された企業もあることが明らかになっている。それでも「値上げを受け入れる」とコメントする企業が多いのが現状だ。ヤマト運輸から、値上げ交渉もなく、一方的に解約を通告された事業者が複数あることも確認されている。一方、「当社の主管支店は取扱量がそれほど多くなく、支店長との関係も良好なため、値上げ幅が大きくなかった」(アパレルEC企業社長)と話す企業もあり、支店ごと、クライアントごとに対応はまちまちのようだ。
 佐川急便は5月、荷物1個当たりの平均単価を前期比7円増の518円程度に引き上げたい考えを示している。この数字が正しければ1・3%の値上げになる。
 各社が配送料金の値上げに踏み切る背景には、物流業界の取扱荷物量の増加と、ドライバー不足がある。ヤマト運輸では17年7月に、従業員への未払いの残業代総額約230億円が見つかったと公表している。同月には、佐川急便でも残業代の未払いについての社内調査を開始したと、複数のメディアで報じられた。
 各社の配送料金の値上げが、宅配事業者の人手不足の根本的解消につながらなければ、第2弾、第3弾の値上げが続く懸念もあり、注視していく必要がある。

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