太陽光訪販各社/蓄電池 販売力に格差/「次の主力商材」として期待高まる中

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圧倒的な人気を誇るフォーアールエナジーの「エネハンド」

圧倒的な人気を誇るフォーアールエナジーの「エネハンド」

 太陽光訪販の次の主力商材として期待が掛かる蓄電池だが、訪販企業の間では、販売量に大きな格差が生まれている。売電価格の値下がりが確実視される現在、蓄電池需要は今後ますます高まると予想されている。そんな中ではあるが、蓄電池販売のノウハウの有無や、工事を請け負う能力などによって、蓄電池の販売力に大きな格差が生まれているようだ。

■蓄電池が次なる商材に
 蓄電池は、太陽光訪販事業者の「次の主力商材」として期待感が高まっている。売電価格の低下により太陽光モジュールの訴求力が下がっているからだ。価格比較サイトや、大手家電量販店での取り扱いも広がっており、訪販商材としての旨味は減る一方だ。
 蓄電池は、昼間に太陽光モジュールが発電した電気を貯蔵できる機器。蓄電池がないと電力をため込むことができず、昼間の発電分を夜間に使用することができない。その場合、昼間の発電分は売電することになる。
 ただ、売電価格は低下を続けている。さらに2019年には、FIT(固定価格買取制度)法で定められた価格で売電できる期間が終了し始める(2019年問題)。買い取り期間終了後は、売電価格が電気代よりも安価になるため、太陽光パネルで発電した電気を自分で消費する「自家消費」が主流になると考えられている。
 太陽光訪販企業にとって、売電価格の低下は、既存顧客に対する蓄電池提案のビジネスチャンスが拡大することも意味する。
 太陽光モジュールと蓄電池のセット販売は、顧客単価の向上にも貢献する。催事販売を手掛けるグリムスは、蓄電池と太陽光モジュールのセットの売上高が17年3月期において前期比で3億9500万円増加したという。約200万円で販売している蓄電池の販売台数は、前期比274台増の982台だった。太陽光モジュール単体の売上高は3億9000万円の減収だったため、差し引きで6600万円の増収となった。

■業態転換失敗で倒産も

 蓄電池は複数メーカーが製造しているが、フォーアールエナジー(本社東京都、牧野英治社長)が開発した「エネハンド」が圧倒的な人気を誇っている。同商品は容量が大きく、一般家庭の1日分の電気を貯められる。
 フォーアールエナジーは「2019年問題への対応準備はすでに始まっている。『もう少し先だけど今のうちに買っておこう』とお客さんに思わせる、商品力と提案力が必要だ」(牧野社長)と話す。
 同社は代理店に、蓄電池の節電効果のシミュレーションについて説明するためのツールを提供している。例えば蓄電池の小売価格187万円を180回払いに分割すると、毎月の支払いは1万1900円になる。節電効果が1万1900円を超えるようであれば「実質負担0円」と訴求して販売することもできるというわけだ。

(次は、「日本流通産業新聞」8月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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