フォーデイズに消費者庁が立入検査/「不実告知」などの指摘受け、改善策導入へ

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 フォーデイズ(本社東京都、和田佳子社長)が7月11日に、消費者庁による特定商取引法に基づく立入検査を受けていたことが分かった。昨年8月に消費者庁から、「不実告知」「重要事項不告知」など4項目に違反しているとして改善指導を受け、コンプライアンス強化を図っている最中の立入検査となった。行政指導された後に改善策を次々に導入、PIO―NETに寄せられる相談件数は緩やかに減少していたものの、劇的な成果に至らなかったことが立入検査につながったものと同社はみている。これを受け同社は、会員が独自に作成した資料の回収を急ぐとともに、トレーナー制度を見直して資格試験の導入を決めるなど、さらなるコンプライアンス強化策を打ち出している。
 消費者庁による立入検査は、7月11日に東京本社ビルおよび至近に点在する関連ビル、東京サロンに22人が来たほか、鹿児島にあるコールセンターにも10人が来て立入検査を行ったという。違反行為について消費者庁からは、特に4項目を挙げられたという。一つは、「がんが治る」「病気が治る」「遺伝子修復」など勧誘時のトークで、これが「不実告知」に当たるとされた。
 会社の公認を得ないまま会員が独自に作った資料にも言及されたという。特に製品の効能・効果をうたった内容の資料について問題視されている。また、会員がセミナーに友人等を誘う際に、目的を告げなかったこと、フォーデイズが連鎖販売取引であることを事前に伝えていないことが「重要事項の不告知」「勧誘目的の不明示」にあたると指摘されたという。
 消費者庁の立入検査を受け、会員に対して今回の経緯説明と違反行為の撲滅、相談件数ゼロを目指すための対策について告知している。7月14日にはフォーデイズの公式ウェブサイトに、和田社長からのメッセージ動画をアップ。ビジネスの中核を担う約2万1000人の「トレーナー」資格者に対し、消費者庁からの指導を受けた現状を明らかにするとともに、健全なビジネス活動への協力を訴えた。
 そして19日に東京で緊急のトップメンバー会議を開催、約100人が参加した。21日は熊本でも開催している。さらに24日には、同社のリーダークラスという位置付けとなる「ディレクター」約6000人に、「緊急のお知らせ」をFAXBOXで配信。事実関係の説明、消費者庁から指摘された違反項目について明記するとともに、「不適切な勧誘をなくし、間違いのない登録の推進」「消費生活センターへの入電の激減、そしてゼロを目指す」を実施するとした。
 会員が独自に作成した資料の回収も急いでいる。回収はトップリーダーである「トリプルスターディレクター」がグループ内の資料回収を実施しているという。会社が主導して回収しない理由について和田社長は、「会社が音頭を取って実行すると、独自資料を持っていても『提出すると会社から処分されるのでは』という猜疑心から、それを隠そうとする人もいる。大事なのは、消費者庁から指摘された独自資料をスピード感を持って回収することだ」と実効性の確保を優先した事情を話す。
 セミナーに友人等を誘う際に目的を明らかにしていないと指摘されたことを受けて、「フレンドリーセミナー」を主催する会員に、注意を促す手紙を7月18日発送分のセミナーキットから同梱を始めた。今回の立入検査と指導内容を伝え、正しい勧誘を周知徹底させたいとしている。
 ビジネスの健全化を一層進めるため、ビジネスの中核を成す「トレーナー」の資格を取得するための認定制度の改定も決めた。今後、トレーナー講習会を実施し、講習会で行われる試験に合格した場合にのみトレーナー資格が与えられる。現在、この資格を保有する約2万1000人の会員も、新制度に基づく受講、受験の必要があり、不合格および未受講者は11月度から資格失効になるという。トレーナー講習会は8月17日に福岡サロンで実施するのを皮切りに、全国のサロンで行う予定だ。
 社内体制も強化する。従来は「法務課」「カスタマーサポート室」「お客さま相談窓口」で業務を分担し、部長会議で情報共有してきた。今後は、和田社長を責任者とし関連部門長に外部有識者を加えた6、7人で「コンプライアンス委員会」を設置することを決めた。本社だけでなく、フィールドにも同様の組織を作ってもらうという。トップリーダーに都道府県ごとにグループを作ってもらうことを想定しており、すでに20程度のグループができたという。本社とフィールドがそれぞれコンプライアンス強化の意識を持つことで、健全なビジネス活動を目指していく。
 同社は昨年8月17日、消費者庁からの呼び出しを受けて和田社長が訪問した。その際に「氏名等不明示」「概要書面不備・不交付」「不実告知」「重要事項不告知」について改善指導されたという。加えて消費者庁から、「高齢者の登録に対してどのような認識を有しているか」を問われたとも話している。
 指導を受けた改善策として、75歳以上の人が新規登録する際は家族の同意書へのサインを必須とした。より解約しやすい環境を整備するため、16年12月には「ファーストサポートダイヤル」を新設し、新規登録者の相談窓口にした。フィールドのトレーニングを強化するため、(公社)日本訪問販売協会の「JDSA訪問販売員教育指導者資格」をツインディレクター以上に取得するよう促したり、コンプライアンス講習会を拡充してきたという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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